2011年08月04日

防潮堤を造らないアメリカ。国民に深く根差す「自衛意識」。

アメリカの別荘地、「マイアミ」。

この海岸には「防潮堤」が見当たらない。

災害への備えはどうするのか?



この地は、「巨大ハリケーン」の通り道となることもシバシバである。

日本であれば、当然「防潮堤」があって然るべき地である。



この一事に、アメリカ人の「考え」が、日本人とは全く異なることを知ることができる。

アメリカでは「自分の身は自分で守る」という思想が根底にある。

かたや、日本では「国から守ってもらえる」という意識がどこかにある。



この思想の違いは、両国の歴史に根差すところが大きい。

日本の土地は、古来より「領主」によって管理され、領民たちは年貢を納めながら土地に住ませてもらっているという状況であった。

これに対し、アメリカという国は、「早い者勝ち」で土地を奪い合い、各個人が土地の「領主さま」になったのである。

そのため、日本では土地は「領主」が守るものという了解があるが、アメリカでは土地は「自分」が守るものとならざるをえなかった。



日本で海岸に住む人々は、かつては領主に「割り振られた」土地であったため、自由にその土地を選んだわけではなかった。

かたや、アメリカの海岸沿いの住民は、自らが「好んで」住み着いているのである。

そのため、間違っても、国に「危ないから防潮堤を造れ」などとは言えないのである。



こうした危機意識の違いは、一長一短である。

たとえば、日本では「台風情報」が事細やかに伝えられるが、アメリカの「ハリケーン情報」は実に曖昧だという。

なぜなら、アメリカでは、あまり詳しく情報を提供すると、後々の「訴訟」で不利になる恐れがあるからだという。



しかし、災害時には、アメリカ的なほうが有利である。

ひとたび非常事態宣言が出されるや、現地の担当官ですら「大統領」と同じ権限を持ち、面倒な手続きをスッ飛ばすことができる。

これに対して、日本のお役人は緊急時においても、平常時の手続きを簡素化することができない。この弊害は、今回の大震災で明らかになったことでもある。



今の若者は、いい意味でアメリカ化が進んでいる。

やはり最終的には「自分の身は自分で守るしかない」。

今回の震災においても、そう痛感した人々も多いのではなかろうか?

現在の頼りない政治が、日本国民の目を覚まさせてくれた。

これは、鳩山・管、両氏の数少ない功績の一つと言えるのかもしれない。



posted by 四代目 at 10:07| Comment(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月06日

ネットメディアの一撃は、松本氏にトドメを刺した。ビビリすぎの大手メディアの不甲斐なさ。

たった9日間で終わった、松本龍氏の復興担当相。

被災地へ対して臆面もなく吐いた暴言が、辞任の原因である。



「(漁港を)3分の1から5分の1に集約すると言っているけど、県でコンセンサス得ろよ。

そうしないと、我々は何もしないぞ。

だから、ちゃんとやれ。そういうのは。」



「お客さんが入って来る時は、自分が入ってからお客さん(松本氏自身のこと)を呼べ。

いいか。長幼の序が分かっている自衛隊なら、そんなことやるぞ。

分かったか?」(村井知事が遅れてきたことに対する発言)



「酔っ払った上司が、部下を叱っている」と形容された松本氏の暴言。これらの言葉は、復興に尽力邁進する宮城県知事・村井氏へ対する発言である。

松本氏は最後にこう言ったという。

「オフレコだぞ。もし書いたら、その社は終わりだからな。」



この最後の脅し文句が効いたらしく、当日のテレビで報じられることは全くなく、新聞や通信社も同様、貝のごとく固く口を閉ざした。

口火を切ったのは「YouTube」の映像である。松本氏の一連の暴言を収めた映像は、100万回以上も再生され、ネット世界は沸きに沸いた。

その流れで、ニュースやワイドショーが騒ぎ立て、今回の急速辞任につながったわけである。



なぜ、大手メディアは松本氏に頭が上がらなかったのか?

それは、松本氏の家系と経歴に押されてのことだ。

祖父は「部落解放運動の父と呼ばれる松本治一郎氏」。父・英一氏は参議院議員で、実家は大手建設会社「松本組」を経営している。

その資産は、国会議員でもトップクラスである。



しかし、松本氏の「政治的実績は無に等しい」。首相と親しかったため、「お友だち人事」だろうと囁かれていた。

今回の大臣復命も、有力候補だった仙石氏が固辞したための、やむなき人事だったとのこと。



松本氏にとって、「メディア恫喝」はお手の物であった。

「事なかれ主義」は、大手メディアの基本姿勢である。



そのタブーをブチ破ったYouTube動画を配信したのは、「東北放送」である。

正義感からかどうかは知らないが、地方メディアには、タブーに対する「恐れ」がなかったとも言われている。

松本氏は九州出身なだけに、「東北の何市がどこの県とか分からない」とも発言していた。ただでさえ、復興の遅さにヤキモキしていた東北県民にとっては、天敵がやって来たようなもの。

今回の辞任劇に、東北の民は胸のすく思いだったのかもしれない。

松本氏の在任期間が「9日間で済んだのは、むしろ被災地のために幸いだった」と皮肉られる始末である。



今回の松本氏撃退は、見事なるネット社会の勝利であった。

しかし、被災地の復興には、「土建業や産業廃棄物などの業界に巣食う『闇』」が暗躍しているという。

今回の事件は、氷山の一角にすぎないのかもしれない。まだまだ、不当に不遇をかこつ人々は大勢いるのかもしれない。



posted by 四代目 at 06:31| Comment(1) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月03日

長期化するギリシャ不安。パパンドレウ首相の無欲さは、国を救えるのか?

借金で首が回らなくなったギリシャでは、国を挙げての「大バーゲン」が開催されようとしている。

・エアバス4機
・国営クジ
・国営競馬の免許
・スポーツ賭け屋とカジノの利権
・複数の港湾
・国営郵便局
・水道会社2社
・ニッケル採掘会社と精錬所
・軍需物資メーカー
・電力とガスの独占企業体
・通信事業者
・銀行6行の株式
・数百マイルの道路
・使われていない空港
・古いオリンピック会場
・数千エーカーの土地 などなど。



果たして、買い手はつくのか?

これらの資産の多くは、長年売りに出されているにもかかわらず、「買い手がついていない」という。

それでも、ギリシャは2015年までに500億ユーロ(約5兆7000億円)を、国有資産の売却から調達するよう、圧力をかけられている。



2000年以降のギリシャの民営化収入は、たったの100億ユーロ。今回の計画は、「その半分の期間で、5倍の収入を上げなくてはならない」のだ。

こうも条件が厳しくなったのは、前回の救済資金の1100億ユーロが底をつき、またもや追加の1000億ユーロが必要となったからである。

ギリシャに金をやるのは、「排水溝に捨てるようなもの」と言われるわけである。



それなら、いっそのことデフォルト(債務不履行)して、ゼロからスタートしたほうが、よっぽど楽かもしれない。

しかし、欧州の厳しいパパであるドイツが、「それ(デフォルト)を許さない」。ギリシャがデフォルトすれば、「欧州のあらゆる銀行が、支払い不能に陥るから」である。

ギリシャに対するドイツの要求は厳しすぎて、ギリシャ国民はそれに猛反発。抗議デモ、抗議デモで徹底抗戦の構えである。



国民の猛烈抗議の声の中、ギリシャ議会は、ドイツの示した厳しい財政緊縮法案を「承認」した。

現在のギリシャの首相は、ギリシャ版ケネディー一族の御曹司「パパンドレウ首相」である。

先の不信任決議をも乗り越え、今回また、難しい法案を可決させたことになる。



パパンドレウ首相の母親はアメリカ人。父親のアンドレス・パパンドレウ氏も、ギリシャ首相を務め、戦後最長の在任期間を誇った。ちなみに祖父も首相経験者である。

その一族である、現首相のパパンドレウ氏は、「断固たる姿勢を示すのが苦手」と批判され、「シェイクスピアの悲劇的に優柔不断な主人公」に例えられている。

パパンドレウ首相は、「政治的な野心」をほとんど出さずにきたが、その権力欲のなさが、かえって支持率を拡大させたとの見方もある。



先月16日、アテネで抗議デモが激化した際、パパンドレウ首相は、野党党首に電話して、退陣の意向を伝えた。

しかし、野党側は逆に首相の続投を支持。与党にも懇願される形で、退陣の提案は撤回された。

その状況は、先の日本の政局にも似ているが、その内容は正反対である。

その後の信任投票においても、「与党の造反はなかった」という。

無欲の勝利であろうか。



今回の法案が通ったことで、ギリシャは一安心といったところだが、「問題の先送り」だという意見も根強い。

いったい、ギリシャ問題はどういう形の解決を見るのであろうか?




「ギリシャ」関連記事:
悩めるギリシャの若き農民。「もはや戦場だ」。そこに現れた不思議な像とは?

リーマンとは明確に異なる「ギリシャ危機」。ギリシャだけなら恐るるに足らず。しかし‥。


posted by 四代目 at 17:54| Comment(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月28日

治まらぬものを治めてこその「政治」。ユーロ危機は、いかなる方向へ向かうのか。




ギリシャ発のユーロ不安は、揺れに揺れている。

ギリシャを救済することは、「排水溝にカネを捨てるのと一緒だ」という過激な意見まで飛び出すほどである。



「ユーロが苦境にあるのは、欧州が苦境にあるからだ」という。

欧州の現在の苦境を理解する意味で、おさえておくべき歴史的「条約」が二つある。

一つは1648年の「ウエストファリア条約」であり、もう一つが1991年の「マーストリヒト条約」である。



1648年の「ウエストファリア条約」以前の欧州は、国家を超える「宗教」的権威の下にあった。

その宗教的権威が威光を失い、各国家が独自の道を歩み始める端緒となったのが、ウエストファリア条約である。

この条約以来、各国家が独自の政策を進めた。その結果、各国の「強弱」が明白となり、ついには、2度にわたる世界大戦を引き起こした。



その教訓のもと、新たな欧州統合の嚆矢となったのが、1991年の「マーストリヒト条約」である。

この条約により、国家を超える通貨「ユーロ」が誕生することとなる。

一度はバラバラになった欧州が、再統一を試みることとなったのである。



ところが、マーストリヒト条約と同年、ドイツは東西統一を果たし、ドイツが抜きん出た強国となってしまう。

ユーロの信頼は、ドイツの信頼によるところが大きい。欧州の他の小国は、ドイツの信頼の下、低い金利でお金を借りられるようになった。

自国の信頼以上にお金が借りられたため、自力での返済能力を越える借金国が続出。

ギリシャがそうであり、アイルランド、ポルトガルもそうである。

そして、その膨大な借金が、現在のユーロ危機を招いた。



それでも、「ギリシャとアイルランド、ポルトガルの公的債務は、合計で約6800億ユーロ(78兆円)。これは多額なように思えるが、ユーロ圏の生産高のわずか7%程度にすぎない」という。

痛みは伴うものの、政治的な解決が不可能なわけではないのだという。



しかし、ヨーロッパ最強のドイツが黙ってはいない。

安易な弱者救済を「良し」としないのである。

ドイツ人が稼いだお金を、ギリシャ人がバカンスで使っているというのである。



通貨統合の理念は、国家の枠を超えて、欧州全体の利益を大きくしようとするものであった。

しかし、現在、各国は自国の狭小な利益にこだわり、欧州全体の未来に貢献しようとしていない。

かつて、「ウエストファリア条約」で欧州がバラバラになったように、今また歴史は繰り返そうとしているのである。



欧州債務問題は、こじれにこじれているため、なかなか収まりにくい問題となっている。

その「治まらぬもの」を治めてこそ、「政治」と呼べるのではなかろうか。

自然と治まるものであったなら、そこに政治は必要にない。

欧州の政治力や如何に。

posted by 四代目 at 12:16| Comment(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月22日

大国に翻弄され続けたスーダン。南部独立への希望。

来月(7月)、アフリカに「新国家」が誕生する。

「南部スーダン」である。

アフリカでは54番目の国家誕生となり、1993年のエリトリア誕生以来、18年ぶりの新国家となる。

今年1月に行われた住民投票では、「独立賛成」が98.8%を占める圧倒的な支持をえた。

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意気揚々と船出せんとする南部スーダン。

しかし、その前途の多難さは、世界の懸念するところである。



まずは、南北に別れる前の「スーダン」という国を知っておいた方がよい。

この国家は、「失敗国家」世界ランキングの常連であり、必ずベスト3に名を連ねている。

失敗国家とは、国の機能が正常に働いていない国家の総称であり、北朝鮮、アフガニスタン、リビアなどが該当する。



なぜ、スーダンは失敗国家の汚名を着ることとなったのか?

やはり、アフリカ最長といわれる「内戦」が、著しく国家を疲弊させたことが、最大の原因である。

ダルフール紛争、アビエイ帰属問題など、いまだ武力抗争が続いている。



内紛の種は、植民地時代に蒔かれている。

スーダンの北部は、隣国の「エジプト」が支配(1821)し、南部は「イギリス」が統治(1877)した。

北のエジプトの支配地には、「イスラム教」が浸透し、アラブ化が進んだ。

片や、南のイギリスの統治領には「キリスト教」が布教されるも、原住民の宗教が根強く信仰され、アフリカらしさが色濃く残された。



エジプトは、のちにイギリスの支配下に入り、スーダンは共同統治の形をとるものの、スーダンを南北に分断して統治する手法は踏襲された。

スーダン北部は「イスラム」、南部は「アフリカ」と、時がたつほどに、南北の違いは鮮明になってゆく。



北部のイスラム地域は一枚岩ではない。歴史上、東西対立を続けている。

西のダルフールは、イスラム教を国教とするも、「アラブ化」を拒絶した。

そのため、スーダン北部は、「アラブと非アラブ」という、二つの世界が形成され、その東西対立が「ダルフール紛争」となっている。



このように、スーダンは「イスラム」、「アフリカ」、「アラブ」のせめぎ合う場所に位置するため、複雑な対立関係が常習化している。

近年、ただでさえ複雑な対立を、さらに厄介にするのが「石油」資源である。



幸か不幸か、スーダンは世界有数の産油国である。

さらに幸か不幸か、石油資源は「南部」に集中(80%)している。しかも、産油地帯が「南北の国境」に集中しているため、南北の国境争いは、熾烈にならざるをえない。

とくに南北の狭間にある「アビエイ」では、一大争奪戦が繰り広げられている。

なにせアビエイでは、スーダン原油の「4分の1」が産出されるのだ。南北ともに、このドル箱地帯を我が物とせんと躍起にもなる。

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かつて、アビエイには、原住民と遊牧民が、仲良く共存していた。

ところが、イギリスはスーダンを南北に分割する際、遊牧民を北部、原住民を南部と、両者を南北に分けて統治した。

そのため、友好的だった両者は、次第に対立するようになり、幾多の内戦を通じて、両者の溝は決定的となった。

現在、原住民は故郷アビエイを追われる結果となっている。

南部スーダンの独立が決定するも、アビエイ地区の帰属は未定であり、南北の国境線のおよそ2割は係争中である。



欧州列強の植民地支配に端を発する、スーダンの混乱は、次代の覇者たらんとする「中国」の介入によって、厄介度を増している。

中国が狙うのは「石油利権」と「武器輸出」である。



アメリカがスーダンに経済制裁を課しているスキをついて、中国はスーダンに乗り込んできた。

紛争地にジャカジャカ武器を輸出した結果、今やスーダン軍の装備は、ほとんどが中国製で占められている(当然、世界中から非難されている非道である)。

石油利権をものにせんと、中国はスーダンに大パイプラインを敷設。現在、スーダンの石油の65%は中国向けである。

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現代の諸問題を一身に抱える「スーダン」。

独立を決定した南部は、国民のおよそ9割が、一日2ドル以下で生活している。

慢性化する紛争、紛争がもたらす貧困…。



歴史上、大国の関与が現地の人々を幸せにしたことは、まずない。

今世紀は、その負の歴史を書き換えることが出来るであろうか?

日本も世界の大国として、その責任の一端を確実に担っている。




出典:時論公論
「アフリカ新国家誕生へ 求められる長期支援」

posted by 四代目 at 07:24| Comment(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする