2011年07月07日

複雑な金星の動きを、正確に理解していた「マヤ文明」。2012年地球滅亡の論拠ともされる謎の暦をもつ高度な知識。

1999年、ノストラダムスは「恐怖の大王」を予言した。

そして、2012年。世界が終わるという話が、あちらこちらで囁かれる。

2012年滅亡説の大きな論拠となるのが、「マヤ暦」である。



その謎の暦をつくったとされる「マヤ文明」は、ユカタン半島(メキシコ・グアテマラ・ベリーズ)に、2000年(B.C.6世紀〜A.D.16世紀)にわたって栄えた文明である。

現在に残る遺跡や文字から、この文明が高度な天文技術を持ち合わせていたことが判っている。



現代の我々にとって、「太陽と月」が重要な天体であるが、マヤの人々にとっては、「太陽と金星」がとりわけ重視された。

遺跡として残る神殿は、太陽の動きに合わせて建設されている。

「春分・秋分」、「夏至・冬至」などの重要な節目には、太陽が神殿と重なったり(カラクルム遺跡)、不思議な影を現出したりする。

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例えば、天空から舞い降りる蛇「ククルカン」は、春分の日にだけ、その全貌を明らかにする。階段の最下段に設置されたククルカンの頭に、春分の日の太陽が作る階段の影が胴体を添えるのだ。

この壮大な仕掛けのポイントは、神殿が東西南北の方角に対して「21°」だけズレていることにある。

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太陽は規則正しく動くために、その観測は容易であるが、「金星」の場合、そう簡単にはいかない。

地球から見える金星の周期は「584日」だが、金星は東の空を260日以上うろついたかと思うと、2ヶ月ほど消えてしまう。

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そして、再び現れるのは西の空。一通り西の空を巡回すれば、また一週間ほど消えてしまう。そして、584日後には元の場所に現れる。



この一見不規則に見える「規則性」を、マヤの人々は完璧に把握していた。

金星は「チャクエク(偉大な星)」として、その観測を欠かすことがなかったのだ。

地球が太陽・金星と一直線に並ぶ周期(584日)と、地球が太陽を一周する周期(365日)が、8年に一度だけ一致することを示す石碑も残っている。

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金星観測の天文台の遺跡も残る。土台や建物が微妙にズレた設計になっているのは、建物の開口部が、金星や太陽の動きを正確に示しているためである。

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スペイン侵略の際、キリスト教のために、マヤは邪教とされ、ほとんどの書物が燃やされた。それらの書物には、貴重な天文観測の記録が認(したた)められていたという。

わずかに残る書、「ドレスデン・コデックス」には、金星に関する詳細な記述がビッシリと書き込まれている(この書のおかげで、現代の我々はマヤ人の金星の知識の一部を知ることができた)。

当時のスペイン人は、マヤの高度な天文学を理解することができなかった。自分たちが使う暦が最高の暦だと信じて疑わなかったからである。

しかし、マヤの暦は、一年の日数を「365.242」と、小数点第3位まで正確に表していたのに対し、ヨーロッパの暦は、それよりも雑で不正確であった。

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また、マヤの数学もヨーロッパ人には意味不明であった。

なぜなら、マヤの数学は「20進法」であり、より高度な算術であったためだ。

現在の我々には「10進法(一・十・百・千・万)」がお馴染みであるが、なぜマヤの人々は、より複雑な「20進法(20・4百・8千・16万・320万)」を使っていたのか?

それは、20進法の方が、巨大な数字をシンプルに表記できるためである。

マヤの暦は、紀元前3114年からスタートし、この基準からずっと日数を積み重ね続けている。そのため、扱う数字がケタ違いに大きくなってしまうのである。

その膨大な数を処理するには、20進法のほうがケタが少なくて済む。例えば、320万を表記する際、10進法では7ケタ必要になるが、20進法では、5ケタで済む。



金星観測の驚くべき精度は、マヤ人が「金星の日面通過」を捉えていたことにもある。

「金星の日面通過」とは、地球・金星・太陽が一直線に並び、地球から見ると、金星が太陽と重なって、太陽の真上を横切る現象である。

この現象が起きる周期は、243年である。しかも、金星の動きにありがちな不規則な規則性もある。105.5年、8年、129.5年、8年という不規則な間隔で「金星の日面通過」は繰り返される(さらにややこしい事には、この周期は時代により変化する)。

そして、太陽と金星が重なる時間は、長くて6時間程度。マヤ人は、金星の複雑怪奇な動きを把握するのみならず、この短時間の特異な現象をも見逃さなかったことになる。

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前回の金星による日面通過は、2008年6月8日。次の通過は、この8年後の2012年6月6日の予定。

2012年の地球滅亡説は、12月23日が有力だが、この金星がらみの6月6日に注目している人々もいるという。

もっとも、滅亡説の主たる根拠は、マヤ暦による世界の第5時代(紀元前3114年を起点とする)が、2012年に完了することである。



マヤの高度な天文知識の一部は石碑に記され、その8割は解読可能だという。

しかし、スペイン人が燃やしてしまった記録や、未解読な文字のなかに重要なメッセージが隠されている可能性もある。

そのため、我々現代人が、マヤの知識を完璧に理解しているとは言い難い。

もしかしたら、かつてのスペイン人のように、自分達の文明が最上だと勘違いしているだけかもしれない。



マヤの人々は、望遠鏡を使うこともなく、シンプルな石の建造物のみで、天空の動きを読み取っていた。そして、太陽や影という分かりやすい方法で、万民に時を告げていた。

ククルカンの蛇が現れれば、春分だということで、種をまけば良いのである。

より、重要な決断には、金星の動きを参照した。大きな戦いが、金星の日面通過の日を選んで行われた記録も残る。


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我々は、マヤの人々よりも、たくさんの道具を持っているかもしれない。しかし、智恵となると、我々はマヤ人の及ぶところではないのかもしれない。

マヤを知れば知るほど、その偉大さに驚愕せざるをえない。





関連記事:
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出典:コズミックフロント〜発見!驚異の大宇宙〜
「太陽の民 マヤ〜いま明かされる驚異の暦」



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2011年06月30日

今まさに爆発せんとするオリオン座の星「ベテルギウス」。前史にないほど至近距離の巨大爆発、そのとき地球は‥。

今、世界中の天文学者たち、そして世界中の天体望遠鏡が、一つの星から目を離せずにいる。

その最高にホットは星の名は、「ベテルギウス(ビートルジュース)」。

「オリオン座」の右肩に位置するこの星は、ホットすぎて「大爆発寸前」なのである。

世界の科学者たちは、その「大爆発の決定的瞬間」を捉えんと、皿のように、目を凝(こ)らしているのである。

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爆発の兆候(15年で15%縮んだ)は、ありありと現れてはいるものの、その正確な時期は予測不能である。

この爆発は、一年後かもしれないし、明日かもしれないのである。これでは、目が離せるわけがない。



俗に言う「超新星爆発」というやつなのだが、ベテルギウスほど地球から近い距離(640光年)で爆発するのは、前例のないことである。

今まで観測された7回の超新星爆発は、いずれも「遠い宙(そら)」の出来事であり、最も地球に近い爆発(かに星雲)でも、ベテルギウスの10倍は離れていた(6,500光年)。

今回の爆発は、あまりにも地球から近いため、この爆発が地球にどんな影響をもたらすのか、戦々恐々としながらも、興味津々なのである。

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ベテルギウスという星は、デカくて重くて明るい。

地球からの見かけの大きさは、太陽に次いで2番目であり、明るさはベスト10に入る。

その半径は、太陽から木星の距離ほどあり、直径は太陽の1000倍。太陽の大きさを「バスケットボール」に例えれば、ベテルギウスは「エッフェル塔」ほどに巨大である。

重さは太陽の20倍。星の寿命というのは、重いほど短い。現在46億歳の太陽が100億年はもつと言われているのに対し、ベテルギウスの寿命は数百万年。すでに寿命の99.9%は尽きているという。



ベテルギウスは、「核融合」を繰り返しながら巨大化していった。

水素からヘリウムが作られ、ヘリウムから酸素・炭素‥‥、と核融合が進むにつれて、星は膨張、巨大化する。重い星ほど、この反応が早まり、寿命が短くなる。

最終的に「鉄」が作られだすと、その重さによって、星は収縮を始める。そして、圧力釜の内圧がマックスに達すると‥‥、「ボンッ!!」。大爆発である。

こうして、星はその一生を終える。爆発とともに宇宙に放出される様々な元素は、次なる星々の材料となり、無数の新たな星を産む。

ベテルギウスが爆発すれば、オリオン座の右肩は永遠に失われることとなる。



ベテルギウスは、爆発寸前であり、今まさに最高に「荒ぶっている」。

グツグツと煮えたぎるパワーは、星の形を変えてしまうほどだ。一部がコブのように巨大に膨(ふく)れ、異形(いぎょう)の相となっている。

周囲に撒き散らされるガスやチリも、ハンパない範囲に広がっている。

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もし、ベテルギウスが爆発したら‥‥?

「少なくとも、2週間は地球から『2つの太陽』が見られるだろう」という学者(ブラッド・カーター博士)もいる。

爆発の閃光は「一つの銀河」に匹敵するとも言われ、爆発の25光年の範囲内にある星々は、その巨大爆発エネルギーによって、全てが焼き尽くされるとも言われる。



爆発した光は、肉眼でも100日間は確認できるという。

その明るさは、およそマイナス10.5等、ほぼ満月(マイナス12.5等)なみの明るさである。

現在は赤色に見えるベテルギウスは、爆発すると「青色」になるというから、青色の満月が昼夜わかたず100日間、地球を照らすことになる。

数年すると、青から赤へ、もとの明るさに戻っていき、次第に消滅する。

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ベテルギウスの爆発は、地球に破壊的な影響を与えないのか?

懸念の一つが、大爆発によって放出されるという大量の「放射線(ガンマ線)」である。

もし、このガンマ線が地球を直撃すれば、その被曝量はアっという間に致死量に達する。



爆発によるガンマ線は、ベテルギウスの「地軸」に沿って、ビームのように宇宙に放たれるというが、幸いベテルギウスの地軸は、地球に照準を定めてはいない。20度ほどズレている。

「荒ぶる星」の地軸がブレない限り、ガンマ線の地球直撃はないとされている。

多少のガンマ線ならば、地球のオゾン層が身を呈して、我々を守ってくれる。万が一、オゾン層の守りが破られても、地球に降り注ぐのは、「紫の光(紫外線)」だけだという。

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しかし、オゾン層の損傷が激しければ、この「紫の光」ですら、生命を死に至らしめる可能性がある。

遺跡から三葉虫の化石が消えている時期(4億4千万年前)があるというが、それは超新星爆発の時期と重なるというのだ。

海面近くの三葉虫は、降り注ぐ紫外線によって死に絶え、深海に生きる三葉虫のみが、生きながらえられたという話だ。



地球の「至近距離」での超新星爆発は、史上初めての出来事であるために、憶測は憶測を呼び、地球滅亡にまで発展している話もある。

折りしも、マヤ歴の終焉の2012年と爆発時期が近接しているために、スピリット旺盛な人々は、盛んに囃し立てているようである。

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憶測は混乱しか生まないが、爆発の時期が近づけば、正確な予測が可能である。

その予測を可能とするのが、我が「日本」の技術力である。



岐阜は飛騨の山中、地下1,000mに作られた「スーパー・カミオカンデ(超・神を拝んで)」は、超新星爆発の決定的な前兆とされる「ニュートリノ」を検出することができる。

ニュートリノとは、あらゆる物質を通り抜けることができる「幽霊」のような物質だが、スーパーカミオカンデは、この精妙な物質を検知することができるほどに精細なセンサーが万と並ぶ。

かつての超新星爆発でも、見事にニュートリノを捉え、それがノーベル賞(小柴昌俊氏)につながったという偉業(2002)もある。

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ベテルギウスが爆発とともに放つニュートリノは、爆発の光が届く数時間前に、スーパーカミオカンデが検知する(大マゼラン星雲で発生したSN1987Aのときは、ニュートリノ観測から3時間後に爆発の光が確認された)。

なぜ、光よりもニュートリノの方が速く地球に到達するのか? 光のほうが速いのではないのか?(アインシュタインの相対性理論では、光より速いものは存在しない)



その理由はこうだ。星の爆発は中心核の崩壊から起こり、この時にニュートリノが放出される。そして、その爆発の衝撃は数時間後に外殻に至り、爆発の光となって宇宙へと飛び出す。

その結果、ベテルギウスの爆発の光が地球に届く数時間前に、その兆候であるニュートリノが先に地球に到達することになる(爆発の光の前に、星の中心核が崩壊してニュートリノを発している)。



岐阜の山中で得られた情報は、即座に世界に発信される。何せ数時間しかない。一刻を争う重大事だ。

日本からの情報を受けた世界中の研究機関、天文観測所は、即座に臨戦態勢。

世紀の一瞬を捉えんと、身構えるわけである。

研究者たちは、この日のために防災訓練ならぬ、伝達訓練に日々余念がないという。



今や遅しと待ち構える、ベテルギウスの大爆発。

和名を「平家星」というベテルギウス。平家滅亡の壇ノ浦はもうすぐだ。

こうしている間にも、ツイッターのタイムラインにビッグニュースが飛び込んでくるかもしれない。









「宇宙」関連記事:
「ブラックホールを見てみたい!」、その欲望が開いた宇宙への新たな扉。

宇宙は逃げ去っている。そして、リンゴも飛び去ってゆく。ダークエネルギーが演出する奇妙な宇宙像。

宇宙からの微弱な電波をもキャッチできる夢の望遠鏡「アルマ」。ますます鮮明になる宇宙像。



出典:コズミックフロント〜発見!驚異の大宇宙〜
「爆発直前!?赤い巨星 ベテルギウス」



〜補足解説〜

ベテルギウスの光が地球に届くまでには「640年」かかりますが、果たして「640年」という距離は「宇宙的な時間スケール」ではどれほどの時間なのでしょうか?

「宇宙的な時間スケール」を表す指標の一つに、「銀河年」という概念があります。銀河年における一年は2億2,500〜2億5,000年(太陽が銀河の中心を一周するのにかかる時間)。

この銀河年を元にすると、640年とは「0.008秒」ということになります。

「0.008秒」で光はどれほどの距離を進むことができるのでしょうか?

およそ「2,400km」進みます。この距離は「北海道(札幌)〜沖縄(那覇)」ほどの距離となります。

つまり、「宇宙(銀河)の640年」という時間は、「人間の0.008秒」に相当し、「宇宙の640光年」という距離は「地球の2,400km(北海道〜沖縄)」に相当します(かなり大雑把ですが)。

要するに、宇宙の感覚でいえば、「ベテルギウスの爆発を地球で見る」のは、「北海道の花火を沖縄で見る」ようなイメージになります。

北海道と沖縄はだいぶ離れているようにも感じますが、光の速さでは「たった0.008秒の距離」なのです。

宇宙的、そして光的スケールでは、ベテルギウスは「すぐソコ(0.008秒の距離)」にあるのです。

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2011年06月23日

宇宙開発、ソ連黄金時代の立役者「コロリョフ」。ガガーリンを宇宙へと押し上げた実力者。

「地球は、青かった」

何とシンプルで、希望のある言葉であろうか。

地球を縛っていた「大気圏」を抜け出した男「ガガーリン」の言葉である。

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人類で初めて、宇宙から地球を見た人物が、ガガーリンである。

ガガーリン以前、宇宙は未知の空間であり、無重力の環境で人間は「失神」してしまうのではないかと恐れられていた。

人々の不安を突き破るように、彼は未知の空間へと旅立った。

大気圏をスムーズに突きぬけ、彼は優雅に宇宙からの眺めを楽しんだ。しかし、トラブルは、地球への帰還時に起きた。

分離すべきロケットが引っかかり、彼の宇宙船はそれに引っ張られるようにキリモミし、彼の身体は、無重力から一転、地球の10倍もの重力に押しつぶされそうになる。

窮地の彼を救ったのは、自動脱出装置。電卓もない時代に作られた自動装置は、見事機能し、ガガーリンは奇跡の生還を果たすこととなる。

この脱出装置はじめ、人類を宇宙へ押し出したロケットを作ったのが、今回の主人公、天才「コロリョフ」である。

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華々しく新聞の一面を飾った「ガガーリン」とは対称的に、天才「コロリョフ」の名を知る人は、当時、全くと言っていいほどいなかった。

コロリョフの存在は、ソ連政府によって「秘中の秘」とされていたからである。

というのも、ソ連はアメリカによる暗殺を警戒していた。

当時のソ連は、アメリカと激しくやり合っており、核爆弾はじめ、宇宙開発においても、「いかに相手を出し抜くか、いかに相手を蹴落とすか」に血眼となっており、暗殺も厭わない時代であったのだ。



コロリョフの頭脳は、時代を超越していた。

人類初の人工衛星(スプートニク)、人類初の有人宇宙飛行(ガガーリン)、人類初の宇宙遊泳(レオーノフ)。

これら全ての偉業が、コロリョフの頭脳から湧きいで、現実化したものである。

コロリョフは、人類の進化を一気に加速させた人物なのである。



アメリカにとって、これほど厄介な人物はいまい。

コロリョフのいるソ連は、「無敵」であった。そのソ連にアメリカは連戦連敗。

圧倒的なソ連の宇宙技術を前に、アメリカはなす術を知らなかった。慌てて打ち上げたロケット(ヴァンガード)は、地上を離れることなく爆発するというお粗末さであった。



ソ連の至宝として重宝されたコロリョフ。しかし、彼の若き日々には、苦難の時代があった。

時の権力者「スターリン」は、彼の真価を見抜くことができなかった。

突然、スパイの嫌疑でコロリョフを「投獄」してしまう。

零下40℃を下回る極寒のシベリアで、金採掘という重労働を強いられたコロリョフ。

重労働に加え、激しい虐待の日々が続く。全ての歯が抜け落ち、アゴの骨は砕け、心臓の病をも患ってしまう。

この時の心臓病は、長く尾を引き、ついには彼を死に至らしめる。彼の死後、ソ連の宇宙開発は全く頓挫してしまい、アメリカの先行を許してしまうのだが、その遠因は、スターリンによる虐待の時代にあった。



コロリョフを獄中から救ったのは、敵国ドイツによるソ連への猛攻(第二次世界大戦)であった。

ドイツの科学技術は抜群に秀でており、最新兵器によるドイツの猛攻は、ソ連を瀕死の状態にまで追い詰めていた。

特にロシアの心胆を寒からしめたのが、ドイツの開発した新ロケット「V2」である。射程距離300kmというこのロケットは、当時の常識では考えられないほど高性能であった。

このロケットの開発者は、天才「フォン・ブラウン」。のちに彼はアメリカへ亡命し、人類初の月面着陸の立役者となる。



このドイツの猛攻に対抗すべく、白羽の矢が立ったのがコロリョフである。

獄中から復帰したコロリョフは、ソ連の期待に大きく応え、またたく間に天才「フォン・ブラウン」を凌ぐ高性能ロケットを完成させる。

戦争が終結しても、コロリョフの勢いは留まるところを知らず、彼のロケットはグングンと飛距離を伸ばして行き、初の大陸間弾道弾を完成させ、ついには宇宙に達する。

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その勢いのまま、コロリョフは人工衛星の打ち上げを成功させ、世界の人々を「あっ」と言わせる。

人々の口がふさがる間もなく、宇宙にガガーリンを送り込むことにまで成功。

アメリカは、ただ呆然とソ連の宇宙船を見送るより他になかった。



不世出の天才「コロリョフ」の死は、突然であった。

ソ連が「月」へ乗り出さんとしていた、その矢先の出来事である。

コロリョフは、月へ行くロケットをほぼ完成させていたが、彼の後を継ぐ者たちに、そのロケットを月に到達させる力量はなかった。

相次ぐ打ち上げ失敗に、人々はコロリョフの偉大さを改めて思い知った。



コロリョフの死により失速したソ連を、アメリカは悠々と追い抜いた。

かつては苦杯を舐めた、もう一人の天才「フォン・ブラウン」は、アメリカを月へと導く。

コロリョフにより黄金時代を築いたソ連は、彼の死後、アメリカの優位に立つことは二度となかった。



天才「コロリョフ」の夢は、火星にあったという。

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彼にとって、月はどうでもよく、是非「惑星間飛行」を実現させたかったのだ。

巨大な宇宙船を何回かに分けて打ち上げ、それを宇宙で組み立てて火星を目指す。動力は太陽光。船内には、食料を栽培する植物工場まで設置する計画であった。



現在の人類ですら到達していない火星への夢を、コロリョフは人工衛星を打ち上げる以前から抱いていた。

もし、彼があと10年でも長生きしていたら、今頃人類は火星の地を踏んでいたかもしれない。そう夢想させるほどに、彼の業績は革新的であり、未来を切り開く強力さを秘めていた。



現在、ロシアで行われている「マーズ500」という計画は、コロリョフの構想に基づくものだという。

この計画は、閉鎖された空間にどれほど人間が耐えられるかを検証する実験であり、520日(一年半)を目標にしている(この日数は火星への往復に要する日数である)。

2010年6月30日に開始されたこの実験は、今年11月に完了する予定である。



時代の先の先を行っていたコロリョフ。

コロリョフは語る、「夢、夢、夢。夢を失った人間は、羽を失った鳥と同じである」

コロリョフの夢は、時代の不可能を次々と切り裂いていった。

そして、彼の夢は確実に現代へと受け継がれている。




関連記事:
なぜ、日本は国産ロケットにこだわったのか? H2シリーズに結晶化したその高い技術力。

月への見果てぬ夢を実現した、天才フォン・ブラウンの超弩級ロケットエンジン。



出典:コズミックフロント〜発見!驚異の大宇宙〜
「旧ソ連 幻の宇宙計画〜天才科学者コロリョフの見た夢」

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2011年06月14日

アジア上空は、中国の衛星による占有を許すのか? がんばれニッポン!




覇権争いとは、どこにでもあるもので、今度は「人口衛星」である。

現今のGPSは、「米国防総省が運用する約30基の人工衛星が地球のほぼ全域をカバー」。アメリカの天下である。



ところが、「次世代」GPSは、一国独裁とはいかない。

「地上の基地」が重要な役割を担うため、各地域ごとの大国が、それぞれの覇権を確立することとなる。

「南北アメリカは米国が担当。欧州・アフリカは欧州の連合体が担当」



アジアは?

日本か? それとも中国か?

中国が、独自の測位衛星「北斗」を打ち上げれば、日本は、準天頂衛星「みちびき」を打ち上げる。

GPSの覇権争いは、アジアが最も熱い。



アジアを中国が担うこととなれば、

「次世代GPSは、米、英、フランス、中、露と5つの常任理事国が牛耳る国連安全保障理事会のような世界になる」。

さて、日本がここに割って入れるのか?



次世代GPSは、国防にも関わることなので、中国に独占を許すのは、日本の望むところではない。

中国の独占するレアアースですら、大変なことになっている。

しかし、日本政府は震災以来、政争に明け暮れ、こっち方面に手が回っていない。

このままでは、今まで脈々と積み上げて来た「日本の宇宙技術」が、無為に帰すことにもなりかねない。


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2011年06月09日

太陽の黒点の活動に「異変」あり。気候変動の兆しという科学者も。



ここ数年、太陽に「異変」が起きているという。

パワーが弱まっているとのことだ。

その様は、かつての「小氷期」を彷彿させるという。



現在、太陽」は「6つの衛星」によって24時間監視されている。

その一つが、日本の「ひので」。

「ひので」が宇宙から送ってくる「高精細な画像」の美しさは、科学を超えた「芸術だ」と評価されている。

「ひので」の撮影した黒点の一つは、形が日本列島に似ていることから「ニッポン」と呼ばれているそうだ。

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「ひので」をはじめとした、太陽観測衛星が注視するのは、太陽の「黒点」である。

太陽活動が活発なほど、「黒点」の数は増える。

「黒点」の増減には、正確な周期がある。「11年」で増減のサイクルが完了する。

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この周期に従えば、今年(2011年)は、黒点活動のピークになる「はず」だった。

ところが、予定通りに「黒点」の数が増えてこないのだ。このままでは、予定を2年遅れて、2013年にピークが来ることになる。



「黒点」が増えないとは、どういうことか?

先述の通り、黒点が多いほど、太陽活動は活発である。太陽の活動が鈍いほど、黒点の数は少ない。

では、寒くなるのか?

その可能性もある。しかし、今後とも黒点が減り続けるかどうかは分からない。



1400年頃から1800年頃にかけての、気温が下がった期間を「小氷期」と呼ぶ。

ニューヨーク湾が凍結したり、イギリス・テムズ川が氷結したり、様々な記録が残っている。

日本においては、農作物の減少から、戦国時代を到来させたとも言われている。

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この期間、太陽の黒点の周期は狂った。

正確な11年周期から、13年周期へとサイクルが2年伸びた。

今回の黒点周期も13年になりそうである。この点をもって、地球が寒冷時代に入るという研究者もいる。しかし、未来は予測できない。



より正確に理解するためには、多少の知識が必要である。

ポイントとなるのが、「太陽の磁力」、「宇宙線」、「雲」の三つ。



太陽の黒点から出る「磁気」は大変に強力で、この磁気は「太陽系」全体をバリアーのように覆っている。

このバリアーがあると、宇宙線は太陽系に入りにくい。

ところが、黒点が減って、太陽の活動が鈍ると、バリアーも弱くなる。そうすると、宇宙線は安々と太陽系に侵入し、地球にも通常より多量の宇宙線が降り注ぐ。



この宇宙線自体が危険なわけではなく、宇宙線が空気中の分子に激突する影響が問題である。

宇宙線にぶつかられて不安定になった分子は、安定を求めて、まとまり出す。そのまとまりが核となり、水蒸気を呼び寄せ、雲を発生させる(雲はチリやゴミなどの「核」となるものがあるほど発生量が増える)。

雲は太陽の光を遮り、地表の気温を低下させる。

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誤解していけないのは、黒点の数が減っても、太陽の「光」のエネルギーは変わらないことだ。変わるのは「磁力」である。

そして磁力の低下が、宇宙線を地球に招き、宇宙線が「雲」を発生させる。

その結果、地球は日陰状態となり、気温が低下するのである。

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我々は地球のことだけ考えていれば良いわけではなく、太陽をはじめ、宇宙のことも考えておかなければならない。

今後、温暖化するのか? 寒冷化するのか?

温暖化の原因は二酸化炭素なのか? 寒冷化の原因は太陽にあるのか?

原因と結果の距離がありすぎて、明快な回答は未だ「ない」。

宇宙規模の変動が観測されれば、もはや地球上で「内輪もめ」している場合ではなくなるかもしれない。「地球民」として、難局を乗り切る日がやって来るかもしれない。



出典:コズミックフロント〜発見!驚異の大宇宙〜
「迫りくる太陽の異変」
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