シンガポールには、「攻めないほうがいい」と相手に思わせるほどの「軍事力」があるという。
潜水艦5隻
フリーゲート艦などの艦船41隻
F16D戦闘機などの航空機106機
対艦ミサイル・ハープーン
戦車546台
‥‥。
自国の充実した装備に加え、その背後には世界一の軍事大国・アメリカが控える。
シンガポールの国土は、「東京23区よりやや大きい程度」。これだけの、軍事力があれば、その守りは完璧である。
シンガポールでは、GDPの5%、「約95億ドル(約7,600億円)」が軍事予算である。この額は「国家予算の4分の1」を占める(日本の軍事費は、GDP比3.3%、国家予算の1%)。
東南アジア諸国では、随一の軍事大国である。
シンガポールは世界有数の高い経済成長(2010年14.5%)を誇る。
この莫大な富が、シンガポールの軍を支えているのである。
かといって、シンガポールには軍を「攻め」に用いる気は毛頭ない。軍事力に期待するのは、その「抑止力」であり、莫大な国防費は、そのための「保険金」に過ぎない。
シンガポール軍は、お金持ちが雇う、頼れるガードマンなのである。
東アジアの猛虎・中国が、南シナ海で不穏な動きを繰り返している。
東南アジア各国は、一斉に緊張の度合いを高め、警戒心を露わにしている。
ドンと来いと構えるのは、シンガポールのみで、「フィリピン」などは、悲しいほどに「脆弱」である。
「フリーゲート艦は1隻のみ。残る64隻は哨戒艦艇など。航空機は4機のみで、戦闘機はなし」。
かつて、フィリピンには、アジア最大のアメリカ海軍基地(スービック海軍基地)が置かれ、ベトナム戦争(1960〜1975)では、重要拠点とされた。
しかし、同基地近くの「火山(ピナトゥボ)」が噴火(1991)。被害甚大であった基地を、アメリカは放棄、返還。
それ以来、フィリピンの軍事力は大きく低下し、今や単独での防衛は叶わない。
東西冷戦時、フィリピンはソ連・中国からの攻撃の可能性は低いとして、軍事はさほど重視されてこなかった。
ところが、メキメキと頭角をあらわしてきた「中国」は、他人の海を「我がもの顔」で泳ぎ始めた。
フィリピンが「つかの間の平和」に安穏としている隙に、敵は眼下に迫ってきていたのである。
アメリカとの同盟関係は維持しているものの、以前ほど強固な関係ではない。今、いかに守りを固めるかにフィリピンは苦慮している。
日本の立場も、フィリピンに酷似するものがある。
アメリカとの同盟はあるものの、単独での防衛は敵わない。
フィリピン以上に脅威は多い。中国・ロシア・北朝鮮と、素晴らしい3国が揃い踏みである。
後ろの飛車(アメリカ)が、横に動けば‥‥。