2011年07月04日

海に眠るレアアースは、陸上の1,000倍。中国独占の時代は、もはや長続きしそうにない。

東大の加藤准教授らの研究グループが、トンでもない発見をした。

「レアアースの巨大鉱床」である。

太平洋の海底に眠るというその巨大鉱床は、たった1平方キロメートルの範囲だけで、「日本の年間レアアース消費量の0.5〜1.5年分を供給することができる」。

大まかな推定では、太平洋には、「陸上埋蔵量(1億1,000万トン)のおよそ1,000倍のレアアース資源が存在」している可能性があるという。



この鉱床のドロは、レアアースの「含有濃度」が極めて高い。

400ppm以上の濃度があれば、資源として有用とされるレアアースだが、今回の鉱床には、その2.5倍以上(1,054ppm)の濃度が確認されている。



現在のレアアース市場は、中国に牛耳られる形となっており、不当な輸出規制などにより、今年に入って、その価格は3〜5倍に跳ね上がっている。

今回の発見が、すぐにレアアースの供給に結びつくわけではないが、大量のレアアースの存在が確認されただけでも、充分に中国を牽制する効果が見込めるという。



採掘に関する問題点の一つは、巨大鉱床が「公海上」に位置していることである。

しかし、「公海上の資源でも、国際海底機構(ISBA)の合意が得られ、マイニングコードが採択されることで、鉱区を獲得することが可能だ」という。

実際に、ハワイ沖のマンガンノジュール鉱床は、日本を含めた数カ国が鉱区を獲得している。



なお、「レアアースは、採掘作業の支障となる放射性物質と混在していることが多いが、海底の泥には放射性物質がほとんど含まれていないことも分かった」。

薄い硫酸により、短時間でレアアースの抽出が可能であり、環境への悪影響は少ないそうだ。



まさか、海底にこれほどのお宝が眠っていたとは‥。

日本近海に眠る「メタンハイドレート」は、日本の天然ガスの100年分をまかなうという発見もあったが、まだまだ深海には、我々の知りえない世界が広がっているようである。

海の8割は、光がろくに届かない「深海」である。

その点では、我々の知る海というのは、まだまだ氷山の一角に過ぎないのである。

まだまだ、これから嬉しい驚きが海からもたらされる可能性は充分にある。



posted by 四代目 at 20:21| Comment(0) | 資源 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月30日

レアアースが放射能とセットであることを忘れてはならない。Financial Times



「レアアース」は中国に首根っこをつかまれたままだ。

世界のレアアース総産出量の90%を独占する中国。この中国が「輸出を半減(前年比)」させ、輸出価格は10倍に。あまりにも商売がウマイ(短期的には)。

加えて、「密輸」の取締りを強化。政府の認めたルート外から、こぼれ出るレアアースが激減している。レアアース販売量の「5分の1」が密輸と言われるのだから、この影響は小さくない。



レアアースの度を超した価格高騰に、絶叫に近い悲鳴が世界中にコダマしている。

猛烈な世界的非難の嵐の中、「どうして、レアアースの価格が高くなってはいけないのか?」と中国のレアアース学会は開き直る。

中国に国際「協調性」を求めるほうが、バカなのかもしれない。



悪い面ばかりではない。

「日夜、あらん限りの方法でレアアースを使わないで済むよう努力している」

過度なレアアース依存を脱却しようとする試みも加速している。



また、レアアースは採掘・生産の過程で、ウランやトリウムなどの「放射性物質」が出る。

中国国内では、レアアースによる「放射能汚染」が深刻で、奇形の動物や、作物が育たなくなった畑などが、たびたび話題にのぼる。

中国産レアアースの「激安」の陰には、弱く口のない被害者たちが山といたのである。



環境被害に関しては、日本も安穏としてはいられない。

毎年、中国から吹く風で、中国の砂「黄砂」が日本の大地に大量に降り注ぐ。

このありがたくない贈り物に、放射性物質までクっついてきては、たまったものではない。



不幸かな。地球の自転によって生じる「偏西風」は、つねに中国から日本に向かって吹き続ける。

地球が逆回転しない限り、日本は中国の吐く「クッサい息」を吸い続けなければならないのだ。タバコの副流煙どころの騒ぎではない。



中国のレアアース輸出の急ブレーキは、産業界には「訃報」かもしれないが、一般民衆にとっては「吉報」なのかもしれない。

放射能の恐怖におびえるよりも、デジタル家電の価格が2倍になるほうが、よっぽどマシである。



posted by 四代目 at 07:07| Comment(0) | 資源 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月15日

鹿児島湾で180年分のレアメタル発見!しかし、採掘技術およばず。



資源の乏しい日本には、珍しいニュースである。

レアメタルの一種「アンチモン」が鹿児島湾で発見された。その量なんと180年分。

「アンチモンは、繊維を燃えにくくする難燃剤や半導体などに広く使われ、日本は95%以上を中国から輸入している」という。

中国のアンチモンは岩石から抽出されるが、その含有量はたったの「0.5%」。今回見つかった鉱床には、その12倍の平均「6%」も含まれるという。つまり、日本で採掘したほうが、圧倒的に効率が良いということだ。

しかし、残念なことに、アンチモンには「ヒ素」と同じ毒性がある。現在の採掘技術では、その毒が海中に飛散してしまう恐れがある。

今後の課題は、毒をマキ散らさずに採掘する技術を開発することである。がんばれニッポン!

posted by 四代目 at 20:43| Comment(0) | 資源 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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