2011年07月19日

ユーロ危機は、いよいよ中核国へ飛び火した。イタリアの国債利回りは歴史的水準へ。

ギリシャを発端とした、「ヨーロッパ金融不安」は、去年一年間くすぶり続け、いよいよ、その火の手が、「ヨーロッパ中核国」にまで及ばんとしている。

まず、ギリシャから、アイルランド、ポルトガルへと、問題は拡大していったわけだが、これら三国のGDPは、ユーロ圏諸国においては、それほど大きなものではない。

借金、借金と言っても、同じユーロ圏のドイツやフランスがその気になりさえすれば、救済することは可能なレベルであった。

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ところが、残念ながら、ギリシャに対する「時間稼ぎのための中途半端な救済策」は功を奏さなかった。

そして、時間稼ぎをしている間に、状況は改善するどころか、ユーロ圏はジワジワと蝕まれていった。



その思わぬ結果が、イタリア国債の利回り急上昇である。

国債の金利が上がるということは、その国の「信用が落ちた」という結果である。

イタリア国債の利回りは、6%を突破し、ユーロ導入以来の「最悪の水準」にまで上昇した。



イタリアはユーロ圏では第3位の経済大国。

経済も大きければ、「借金」も大きい。

ギリシャ・ポルトガル・アイルランドの借金を合計した額の「3倍の借金」を、イタリアは抱えている。その大きさは、世界でも「第3位」の債務規模、1兆9000億ユーロ(220兆円)である。

もし、イタリアに何かあれば……、今までのユーロ危機の比ではない。

イタリア国債の急変は、一時的なものかもしれないが、悪しき徴候であることに変わりはない。



ギリシャ・アイルランド・ポルトガルは、言ってみればユーロの「外堀」に過ぎない。

ところが、イタリアは違う。ユーロ圏第3位、いわば「三の丸」を守る有力大名だ。

ここは何としても死守せねばならぬ場所である。



そうこうしているうちに、今度はユーロ圏第2位、「二の丸」を守る「フランス」にも、火矢が射かけられた。

やはり、こちらも国債の金利に変化が表れた。ただ、その変化はさして深刻なものではない。ドイツとの差が広がったということである。

しかし、それでも市場には、それなりの緊張感が走った。

まさかのイタリアに次いで、まさかまさかのフランスまで…、という一抹の不安は、皆どこかで抱えているのだ。



フランスの懸念はといえば、イタリアに大金を貸していることである。

その額は、ドイツがイタリアに貸している額の2.5倍、3,890億ユーロ(約45兆円)。つまり、イタリアに何かがあれば、まずフランスがその打撃を直撃することになる。

イタリア不安は、フランス不安に連鎖するのである。



残るは、ユーロ圏最大の「ドイツ」。

今のところ、ドイツの守る「本丸」が揺るぐ気配は微塵もない。

むしろ、他国の不安から、ドイツの信用は上昇する傾向にすらある。



しかし、ドイツは、外堀で苦戦する「ギリシャ」に援軍を送ることを躊躇(ためら)っている。

ギリシャの苦境は、「ギリシャ国民がちゃんとしていなかったためだ」と、ドイツ国民が信じて疑わないためである。

本丸の大将が躊躇(ためら)っている間に、二の丸・三の丸にも、敵の軍勢は姿を現しはじめている。

ドイツは分かっている。ドイツが本丸にいられるのは、他のユーロ圏諸国の恩恵あってのことだということを。



歴史上、主権国家同士の連合は、なかなかうまく行かない。

船頭が多すぎると、船は真っ直ぐに進めないのだ。

シェフ(料理長)が多すぎたら、スープ一杯もまともに作れない。



多国間でユーロを共有するという構想は、画期的にして斬新なものである。

その道は、平坦であることはありえない。

この危機は、最後の危機ではないだろう。幾多の危機を乗り越え、乗り越え進んでいくはずである。

ユーロは誕生から、まだ10年あまり。ここで座礁するわけにも行かないだろう。





posted by 四代目 at 14:29| Comment(0) | マネー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

お金の出入りを見誤ったアメリカ。8月2日にアメリカの財布は空になる。

8月2日に、アメリカが「デフォルト(債務不履行)」する可能性は?

投資家たちは、その確率を60%とし、銀行家たちは、10%だと言う。



デフォルトとは、借金が返せなくなることである。

借金が返せなくなると言っても、アメリカが貧乏なわけではない。アメリカのGDPは、ダントツの世界一である。

ただ、「入ってくるお金」と「出ていくお金」のバランスが悪くなり、一時的に借金の返済が間に合わなくなるのである。

要するに、デフォルトとは、給料日前に財布の現金がなくなるようなものである。



お金は常に回っているものであり、お金持ちほど出て行くお金も多い。

その「お金の出入り」をしっかり把握しておかないと、どんなお金持ちでも、財布が空になることがあり、それが深刻であれば、社会的信用を失うことになる。



政府の財布ともなると、色々なところからお金が入ってきて、色々なところにお金が出て行く。

政府の役割の一つは、それら多岐にわたるお金の出入りを完璧に把握して、お金の回転を妨げないことである。

ところが、アメリカはその舵取りを誤ってしまった。

8月2日に、財布が空になることが判明したのだ。



現在のアメリカの世界的信用は「最高ランク」にある。

お金を借りようと思ったら、貸してくれる人はたくさんいる。

ところが、アメリカ政府の野党は、「これ以上、お金を借りることは許さない」と、頑なになっているのである。



確かに、信用は抜群とはいえ、無限にお金を借り続ければ、いつかは信用を失う日がくるかもしれない。

信用を失わないためには、信用のあるうちに「自制」しておくことは、必要なことである。

野党の主張は、あまりにも「もっとも」であるがゆえに、政府は新たな借金に踏み切れずにいるのである。



しかし、いつまでも踏み切り板の前で、「油汗」を流しているわけにはいかない。

8月2日までに何とかしなければ、政府の支払いが滞り、あっという間に信用を失ってしまうからだ。

アメリカの格付け会社は、8月2日までに政府間の合意がまとまらなければ、世界最高ランクの格付けを下げる可能性があると警告している。



状況は緊迫しているものの、世界は案外「楽観」している。

世界がアメリカをもっと不安視するようならば、アメリカ国債(借金)の「金利」は、ヨーロッパのいくつかの国のように、もっと上がるはずである。

「金利」とは、お金の「リスク」を表す。金利が高いほど、リスクは高く、金利が安いほど、リスクは低いと見なされる。

アメリカ国債の金利は、依然「最低水準」。これは投資家たちが、アメリカを楽観視している証左でもある。



しかし、アメリカ国債の性質は、一般的な理論の外に置かれているかもしれない。

いまや、世界的な信用不安により、マネーはその行き先を見失っている。

ヨーロッパもダメ、日本もダメとなると、残るはアメリカということになる。

アメリカ国債は、その信用により買われているとはいえ、その内実は消極的な理由であることも否めない。

どこの国の通貨も、かつてほどの信用は失われているため、「金」の価格は市場最高値を更新中ではあるが、アメリカ国債のマーケットに比べたら、金のマーケットは小さすぎて、みんながみんな避難できるわけではない。

そんなこんなで、アメリカのデフォルトを恐れながらも、依然アメリカ国債にお金が流れ込んでおり、その結果、金利は低水準となるのである。



マネーは時として、とんでもない「力」で世間を揺るがすことがある。

世間の騒ぎが小さいからといって、それが安心材料とは言い切れない。

はたして、8月2日は、どんな日になるのであろうか?



posted by 四代目 at 12:27| Comment(0) | マネー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月22日

不死身の金、瀕死のドル。Financial Times



「金の上昇相場は不死身なように見える」

20日のスポット市場にて、
「金(ゴールド)」は名目ペースの史上最高値を更新した。

「銀(シルバー)」も負けていない。
1980年に大富豪・ハント兄弟が買い占めた時以来の高値だ。

今年の初め、投資家たちは大いに強気であった。

リーマンの恐怖が薄れるにつれ、
失ったお宝を取り戻すべく、
ふたたび大海原に漕ぎ出さんとしていた。

そこに、チュニジア発の中東革命の嵐、
日本発の大津波である。

勇んでいた投資家たちは、
一斉にきびすを返して、
「金・銀」に逃げ帰ってきたのだ。

アメリカの調子も悪い。
議会閉鎖の危機を寸前でかわしたと思ったら、
S&Pにより、信用格付けに警告を受ける。
この先には、借金の限度額をめぐる問題が待ち構えている。

金が史上最高値を記録したその同じ日、
「ドルは主要通貨のバスケットに対して、
16ヶ月ぶりの安値をつけ、史上最安値に迫った。」

posted by 四代目 at 11:56| Comment(0) | マネー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする