国民感情として、原発は止めて欲しいというのが圧倒的な声だ。では、その代わりは?と問えば、「太陽光」という声が多く聞かれる。
複雑怪奇で意味不明の原発より、シンプルで馴染み深い太陽光は抜群の人気がある。
太陽光発電の普及には、2つの大きな課題がある。
一つ目は、技術レベルの低さ。現在の変換効率はおよそ20%程度。充分な電力を得るためには、膨大な面積が必要とされる。原発一基分の電力を得るには、東京ディズニーランド100個分の面積が必要である。
二つ目は、コストの高さ。自宅に太陽光パネルを設置しようとした人のなかには、そのコストの高さを知り、導入を断念した人も多いのでは。
太陽光に課題はあるが、解決策の芽はもう出ている。
変換効率を従来の2倍(40%)にすると言われるのが、「集光型」と呼ばれるシステムだ。
ドーム型のレンズで太陽光を集め、光の強さを500倍まで高めて発電するシステムである。これは、虫メガネで光を集めて、発火させるのと同じ原理。

光を受けるパネルにも工夫がある。光を「赤・青・緑」にわけ、それぞれ別々に発電する。こうすることで無駄が減るという。これは宇宙空間(人工衛星)で使われてきた技術であり、従来のパネルでは利用できない「赤外線」も利用できる。
また、理論上では変換効率を80%にまで高められるシステムもある。「量子ドット」というシステムである。
太陽光発電の原理は、太陽の光に反応して、飛び出した電子を利用する。ところが、電子が飛び出す前に、かなり無駄な動きをしていて、飛び出すときには、すでに疲れた状態なのだという。変換効率が20%というのは、80%無駄な動きをしているという意味である。
そこで、電子が動き回るスペースを極限まで狭くする。量子レベルまで狭くする。すると、電子は無駄な動きができずに、元気な状態で飛び出してくる。
このシステムの利点は、パネルの設置面積が小さくできることである。ガソリンスタンド程度の面積でも、電気自動車の充電ステーションを作ることも可能だという。
しかし、残念ながら、「量子ドット」の変換効率は、現在16%。理論値80%には程遠い現状である。
二つ目の課題として「コスト高」があった。
これの解決策はパソコンの価格をイメージするとよくわかる。10〜20年前、パソコンは20〜30万円くらいしたと思う。ところが、今では5万円くらいで買える。
なぜ、パソコンは安くなったのか?それは普及したからである。
太陽光パネルも同じ原理があてはまる。各個人に普及するものは、「規模の経済」の力が働き、増えれば増えるほど価格が下がる。
火力や原子力は、こうはいかない。その手綱が大手企業に独占されている限り、コストが高くなることはあっても、安くなることはまずない。そして、そのツケを知らないうちに払わせられるのが、我々庶民である。
従来の発電システムは、庶民に利をもたらすと同時に、苦しめるものでもあった。ところが、個人普及型の太陽光発電などは、庶民の力が結集されればされるほど、どんどん安く便利になる可能性がある。
どちらの未来が明るいかは、自ずと明らかとなる。
パソコンが、そしてインターネットが庶民のものになったとき、何が起きたか?我々はすでにその革命を体感し、恩恵を享受している。
エネルギー革命は、庶民が参加して初めて達成される。
既得権益の亡者である大手メジャーに振り回される時代は、そろそろ終わってもいいだろう。
出典:テレビ東京
最先端“太陽光発電” その実力は・・・