アメリカのブランド・グループは、「高機能なスマートメーターと、電力使用量を顧客が確認できるディスプレイを組み合わせることによって、電力需要を20%削減できる」という。
この案は、使っている電力を「見える化」して、節電の意識を高めようという提案である。
こうした機器をすでに導入しているのが、ニュージーランドである。
2010年の段階で、スマートメーターは、「全体の3分の1」に普及しており、2013年末までは「80%」まで拡大予定である。
ちなみに、韓国でもこの手の話は進んでおり、昨年の導入率は14%、今後10年間で100%を目指している。
日本では?
残念ながら、スマートメーターは試運転の段階を出ていない。
また、日本は「発電」と「送電」が分離されておらず、この点でも、日本は世界に立ち遅れていると言わざるをえない。
発送電の未分離により、日本の電気料金は「世界一高い」とまで言われている。
例えば、アメリカでは、この分野での自由化が進んでおり、3000社以上が参入。熾烈な競争の結果、電気代は、大雑把に言って、「日本の半分」である。
アメリカの一般市民は、電力会社の電気代を比較しながら、安い会社、安い会社へと流れてゆく。
日本における発送電の未分離は、再生可能エネルギー(太陽光・風力)の普及の足枷(あしかせ)にもなっているという。
再生可能エネルギーは、天候に左右される不安定さがあるので、電力会社に買取りを拒否されるケースがあるのだ。
日本の発送電未分離は、電力の安定供給という面では、世界をリードしている。停電時間の少なさがその証明である。
しかし、今後の電力多様化を考える上では、百害あって一利なしと言わざるをえない。
脱原発を成すための、最初の関門が、ここにある。
経団連の会長が、発送電分離に難色を示すと、楽天の三木谷氏は、経団連からの脱退をほのめかしたという。
加えて、日本には、東と西で電力周波数が異なるという問題も懸念される。
周波数が違うために、東西の電力融通がそう簡単ではない。
これら、日本の固有の電力事情は、世界的にも奇異である。
WSJ曰く、「日本には、電力問題を解決するための道具は揃っている。だが、それを使う智恵がない」。
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