「落ちこぼれの糖」
かつてそんな不名誉な烙印を押された「糖」がある。
それは「プシコース」という糖。
それもそのはず。
現在の自然界には、プシコースという糖は「0.001%」しか存在していない。
いわゆる負け組。誰にも必要とされず、ひっそりと消え去るかに思われた。
ところが、捨てる神あれば拾う神あり。
「拾う神」となったのは、香川大学の何森(いずもり)教授。
ある酵素の発見がキッカケとなり、それ以来、落ちこぼれだったプシコースは一躍、夢の檜舞台へと押し上げられることとなる。現在のプシコースは無限の世界へと道を開く「夢の扉」とまで考えられている。
「落ちこぼれ」から「夢の糖」へ。
プシコースのたどった数奇な運命。
0.001%の狭き門が開いた世界とは?
今回はそんな話である。
◎原始地球、糖の海
それは40億年以上のむかし、太古の地球からはじまった。
プシコースは、その頃に誕生したと考えられている。
原始地球の海底深くの暗闇の中には、ブクブクと熱水の噴き出す「熱水噴出孔」と呼ばれる場所が存在した。それは温泉のようなもので、地球内部のマグマに熱せられた海水の吹き出口であった。
アルカリ性を帯びたその熱水中には、一酸化炭素やメタンなど様々な分子が漂っていた。そしてその熱に反応した分子らが、次第に多様な構造の有機物を形作るようになっていく。
やがてできたのが「ホルムアルデヒド」。この物質が、あらゆる糖類の「祖先」になったと考えられている。
ホルムアルデヒドとは、「シックハウス」の原因物質とも言われるように、人体にとっては非常に有害であり、強い刺激臭をもつ。建築材料のほか、稲やジャガイモの殺菌剤・消毒剤としても現在用いられている。また、ホルムアルデヒドの37%水溶液を「ホルマリン」と呼ぶ。
そのような毒性物質が、甘く美味しい糖の祖先とは、にわかには信じ難い。
だが、ホルムアルデヒドが糖に変わる様子は、実験室で簡単に再現できる。ホルムアルデヒドを熱水噴出孔と同じアルカリ性にし、それを60℃に加熱し続ける。すると不思議なことに、白濁していたその液体は、みるみる黄色に変色していくではないか。
この状態がいわゆる「ホルモース」。原始地球の海底において「糖類が誕生したモデル」と考えられている。この化学反応は1861年、アレクサンドル・ブトレーロフによって発見された。
このホルモース反応(formose reaction)は、ホルムアルデヒドの分子が2つ縮合することにより始まる。
そして次々と様々な糖が連鎖的に生成されてゆく(1.グリコールアルデヒド → 2.グリセルアルデヒド → 3.ジヒドロキシアセトン → 4.リブロース → 5.リボース → 6.エリトルロース → 7.アルドテトロース → 1に戻る)。
驚くべきは、この反応によって生成される「糖の種類」。
ブドウ糖、プシコース、マンノース、アラビノース、ガラクトース、ソルボース、グロース、ジオキシアセトン、エリスロース、フルクトース、クリセロース、キシロース、スレオース…。
その数、じつに50種類以上。それほど多種多様な糖類が、原始地球の海には漂っていたと考えられている。もちろん「プシコース」も。
◎生物誕生、因果のはじまり
ところが現在、糖といえば「ブドウ糖(グルコース)」。
この糖が、単糖類のじつに99.9%を占めている。
原始の海に漂っていた多種多様な糖たちはどこへ行ったんだ?
なぜ、ブドウ糖だけが独り勝ちしているのか?
それは、「生物の誕生」と深い関わりがある。
最初の生命が誕生したと考えられるのもまた、海底の「熱水噴出孔」近辺ではないかといわれている。
現在でも海洋底中央海嶺にある黒い煙のような熱水を噴出する場所には、原始的なバクテリアが存在している。彼らは硫化水素を還元してエネルギーを得る(ちなみに、硫化水素は人間にとって「毒」であり、硫黄臭のする温泉などの成分でもある)。
硫化水素という毒ばかりをエネルギー源にしていた原始的なバクテリアたち。
だが次第に、甘い糖の味に魅了されていくことになる。なにせ自らの周囲には、よりどりみどりの糖たちがプカプカと無為に漂っていたのである。
さあ、いよいよ糖と生物の2人3脚が始まる。そしてそれは、糖たちにとっての「競争の始まり」ともなったのだった。
◎2人3脚
この頃、プシコースという糖もまだ「落ちこぼれ」ではなかった。ところが、生物と2人3脚の徒競争がはじまると、次第に置いて行かれるようになってしまう。
それはなぜか?
それは生物がプシコースを体内に蓄積することができなかったからだ。それは他の50種類以上の糖たちも一緒だった。貯めることができないため、その日暮らしの自転車操業。なくなったら、ハイおわり。海の藻屑と消えていく。
そんな宵越しの金が持てなかった生物たちは、環境の変化に耐えることはできなかった。
ただ、ブドウ糖ばかりは違った。ブドウ糖だけは、ブロックのようにお互いの分子が結合できる形をしており、大きな塊をつくることができた。それが生物体内での貯蔵を可能にした。
ブドウ糖という弁当を持てるようになった生物は、がぜん生き残り競争を優位に展開することになる。一時的に食糧不足に陥ったとしても、ブドウ糖を主食とする生物だけが蓄えていた弁当を食いながら長く生き延びることが出来た。アリとキリギリスの寓話でいえば、ブドウ糖と手を組んだ生物は、食糧備蓄を怠らなかったアリだった。
やがて登場したラン藻類と呼ばれる植物の祖先は、光と水、そして二酸化炭素からブドウ糖を作り出すことに成功する。いわゆる光合成の開始である。
光合成によって自前でブドウ糖を生産できるようになった生物は、その手を海面から出し、陸上へと進出。海中よりずっと明るい陸上は、ブドウ糖を大量生産するには大変好都合。
こうして、地球はブドウ糖で埋め尽くされていくことになる。現在、植物・動物・人間を問わずあらゆる生物は、このブドウ糖という栄養源で動くようにできている。
◎勝者総取り、敗者99%
群雄割拠の原始の海から、一躍天下をとったブドウ糖。
それは生物の進化の歴史と、軌を一にするものだった。
「勝者総取り」
それはアメリカ大統領選挙でも、生き馬の目を射抜くようなビジネスの世界でもよく見られる現象である。
世界がグローバル化するほどに、食うか食われるかの世界は「勝者独り占め」の状態を現出しやすくなる。
さて、生物から見放され、すっかり「落ちこぼれ」となってしまったプシコース。
いやプシコースばかりではない。その他多くのあらゆる糖類が皆、敗者となったのだ。現在、その存在の希少さから彼らは「レア・シュガー(希少糖)」と呼ばれるようになっている。
生命に選ばれしブドウ糖は「わが世の春」を謳歌する一方、選ばれなかった者たちは細々とその生をつなぐしかなかった。絶滅してしまった者がいたのも、致し方ない…。競争社会というのは非常に非情なものである。
◎ズイナとプシコースの絆
それでもプシコースは絶滅を免れた。
それは他の糖にはない「ある性質」のおかげだった。
芸は身を助く。
プシコースの持っていた一芸とは、「植物の成長を抑制する」という一風変わったものだった。プシコースは、植物の成長ホルモンの働きを阻害するのであった。
王者ブドウ糖が甘く甘く生物を育てるのに対して、プシコースは植物の成長にずいぶんと手厳しかった。プシコースの含まれる土壌では、雑草でさえ生えてこない。
たとえ甘い世界にあっても、厳しさに惹かれることもある。
そんなプシコースの厳しさを求めたのが「ズイナ」という植物。
タイなどの暖かい地域、日本国内では近畿以南の暖地に生息する落葉低木である。

不思議なことにズイナは、何らかの突然変異によって、プシコースの成長ホルモン抑制の働きが効かなくなっていた。つまり、ズイナはプシコースの厳しさを厳しいと感じなくなっていたのである。
これはズイナという小さい木には朗報だった。ズイナの落とす葉にはプシコースが含まれている。ゆえに、その葉の落ちた土壌からは他の植物が生え出てこれない。すなわち、ズイナは自ら落とす葉によって、自分のテリトリーを確保することができるようになったのである。
プシコースとズイナの奇縁。
お互いが日陰者同士で気が合ったのか、両者の2人3脚はそれぞれの生きる道につながっていた。現在、プシコースを作り出すことができる植物は、地球上唯一ズイナだけと考えられている。
「絆」という字は「糸が半分」と書くが、プシコースとズイナの縁は、糸の半分にも満たない細い細い絆で、脈々と地球史を生き抜いてきたのであった。
そしてその細くも強固な糸は、今まで縁遠かった人間にも絡まっていくこととなる。
その橋渡しをする人物が、冒頭でも軽く触れた拾う神、「何森健(いずもり・けん)」香川大教授である。
いよいよ、新たな扉の開く時が迫ってきた。
◎希少糖への扉
「生物界っていうのは、存在する必要があるものはたくさん作る。だが、存在する必要がないものについては作らない」
何森(いずもり)教授は、そう言う。必要ないからプシコースは生物界の隅へと押しやられた。存在する必要が極めて薄かった。
そうした観点からすると、プシコースに限らず希少糖すべては存在の意味が薄く、研究する価値は低いと見られて仕方ない。研究とは普通、作る目的があるから作るのである。
だが、何森教授は明確な目的もなく「とりあえず作ってみた」。
すると、「まったく考えてもいなかったこと」が起きた。
サプライズ。それは、予知の先にはない世界、ドン詰まりの先に思わず開けていた世界であった。
それが何森教授の開いた「希少糖の世界」。
その最初の扉となったのがプシコースであり、この扉以外からは入ることが難しかった世界でもあった。
30年以上にわたる研究から何森教授が編み出した「イズモリング」と呼ばれる図を見ると、それが明瞭に理解できる。
この図には30以上の希少糖が鎖状に配列されているのだが、それらの希少糖には「モノには順序」と言わんばかりに生成可能な順番があり、その入口に位置しているのが「プシコース」なのである。
つまり、プシコースの扉を開けずして他の希少糖の合成もない。ここは必ず通らなければならない登竜門。
何森教授の「とりあえず開けた扉」が幸運にも、まさにそれだった。
◎血糖値を上げない糖、プシコース
ところで、なぜプシコースのような希少糖に価値があるのか?
プシコースは生物界に必要ないから希少な存在になったのではなかったか?
この点、ダイヤモンドや金などの希少性とは全く異なるはずだ。
だがじつは逆説ながら、生物界に「不要とされたこと」にプシコースの価値はあった。
現在、人間の主たる栄養源は唯一無二の王者「ブドウ糖」である。それゆえ、人間の身体はブドウ糖を吸収することに特化してできている。具体的には小腸のカベがその吸収の役割を担っている。
だから、ブドウ糖専用の人間の小腸にプシコースがやって来ても、それを吸収できない。ブドウ糖とプシコースの化学式は「C6・H12・O6」とまったく同一にも関わらず、人間は吸収できない。両者にはわずかながらに形の違いがあるからだ。
吸収できなければ栄養にもならない。
舌の上ではブドウ糖の7割ほどの甘さをプシコースに感じるのに、吸収されないから栄養にならない。つまり、それはダイエット効果があるということだ。プシコースは舌だけを甘さで満足させて、腸は素通りしてくれるのだから。
さらに面白いことは、ブドウ糖とプシコースを同時に摂取した時に起こる。形がほぼ同じプシコースを人間の小腸はブドウ糖と勘違いして吸収のゲートを開く。
でも違うのだからプシコースはゲートを通れない。ゲートの門前でそうこう押し問答をしている間に、肝心のブドウ糖はそのゲートをスルーしてしまう。つまり吸収されずに排出経路へと向かってしまうのだ。
結果的にプシコースはブドウ糖の吸収を阻害することになる。だからプシコースとブドウ糖を同時に摂取すれば、糖分の吸収が抑制される分、血糖値の上昇ひいては体重の上昇を抑えることが可能となるのである。同じモノを食べていながらに。
ラットによる実験では、通常の食事後にプシコースを与えた群は、与えなかった群に比べて食後の血糖値の上昇が20%も低くなった。それを3ヶ月も続けると、内臓脂肪の蓄積は30%も抑えられた。
人間による実験でも同様。ブドウ糖のみの摂取に比べ、「ブドウ糖+プシコース」を摂取してもらった方が血糖値の上昇を25%抑えることができた。
ブドウ糖とプシコース
似てまったく非なるもの
そこにプシコースの新たな生きる道があった。
◎香川と糖、歴史的縁
「私たちの生活の中でプシコースを上手に使えば、糖尿病や肥満を予防できる可能性があります。プシコースとは、そんな『夢の物質』なんです」
香川大学医学部の徳田雅明教授は、そう話す。プシコースがメタボを防いでくれるかもしれないのだという。
ところで、前述のイズモリング(希少糖合成への未来図)を示した何森(いずもり)教授も香川大学(現在は退職し特任教授)。そして徳田教授もまた然り。そう、ここ香川県は希少糖生産の一大拠点なのである。
かつて讃岐(さぬき)と呼ばれていた頃も、香川は糖の有名な生産地であった。「和三盆」と呼ばれる糖は、江戸時代に高松藩がサトウキビを原料につくりだした高級砂糖である。盆の上で3回ほど砂糖を細かく「研ぐ」ことから「和三盆」と呼ばれるようになったのだという。

和三盆から希少糖へ
香川県の糖の歴史は、とうとうそこまで進化した。
そして香川県三木町、その山奥のすっかり人影の絶えた廃校(小蓑小中学校)が「夢の場所」。ここに作られた施設でプシコースは生産されている。
「何森教授が探し求めていた場所です。息の長い独創的な研究をするための、自然に囲まれた静かな『夢の場所』がここなのです」
そう案内する近藤浩二さんは、株式会社「レアスウィート」の生みの親。プシコースを大量生産する技術を確立し、希少糖を含む製品を世に送り出している。
現在、香川県はプシコースを「さぬき新糖」という愛称で、和三盆に続く特産品として売り出しを進めているのだとか。
「甘いのにカロリーはほぼゼロ」「内臓脂肪の蓄積を抑える」「動脈硬化になりにくい」「虫歯になりにくい」…。
プシコースには様々な売り出し文句も用意されている。香川県内の菓子店などでは、プシコースを使ったお菓子やケーキなどがすでに普通に並んでおり、レストランなどでは料理に、また特産のうどんのツユに使用することもあるという。

◎酵素DTE
プシコースの生産拠点である山奥の廃校には、世界中から名立たる研究者連中も詰めかける。
この静かな廃校の体育館では、「国際希少糖学会」が開かれるのである。
何森(いずもり)教授の研究が高く評価されるのは、たくさん存在する糖からプシコースという希少な糖を作り出したところにある。というのも、少ない糖から少ない糖を作り出していたのでは大量生産への道は開けない。
そのカギを握ったのが「酵素」。イズモリングに網羅された希少糖類は、そのすべてが「酵素反応」という線で結ばれており、理論上、すべての希少糖、もしくは今まで地球上に存在しなかった糖まで作り出すことが可能となる(繰り返すが、それら酵素反応の起点となっているのがプシコースである)。
具体的には、DTE(D-タガトース3-エピメラーゼ)という酵素を何森教授は発見し、フラクトース(正確にはD-フラクトース)という自然界に多量に存在する糖から、プシコース(正確にはD-プシコース)という自然界にマレにしか存在しない糖を作り出したのである。
ブドウ糖とプシコースの化学式がまったく同一(使っている素材がまったく一緒)であるのは、人体には都合の良い面があった。だが、その形の違いがあまりにも微妙なため、有機合成が困難だという化学的な問題もあった。ゆえにプシコースの生産もおぼつかなかった。
そこで何森(いずもり)教授が考えたのが「バイオ」、つまり微生物を用いる方法である。フラクトースをプシコースに変える酵素「DTE」は、微生物によって生産してもらったのであった。
長らくブドウ糖におんぶにだっこであった生物たちには、この「DTE」という酵素を作り出す力はない。だが、原始的な段階にとどまっている微生物の中には、それが可能な者たちもいたのである。
◎続く道
こうして、プシコースが40億年つむいできた命の糸は、人間の手に握られることとなった。
そして今、さまざまな贅沢病に悩まされる人類は、この希少な糖を心底必要としている。
生物界から必要ないとハミゴにされていたプシコースは、ようやく「落ちこぼれ」から栄えある雛壇へと登ろうとしている。
そして、プシコースの開く希少糖の道は、まだまだ続く。
イズモリングに示された希少糖のつながりを見れば、プシコースの開ける扉は、次に「アロース」へとつながっている。
やはり希少糖の一種である「アロース」はすでに合成の段階にあり、この糖には「さまざまな病気を遅らせる効果」が確認されている。
たとえば、ガン細胞の増殖抑制。ガン細胞もわれわれと同じようにブドウ糖を主たる栄養源とするらしく、人間の小腸同様に、ガン細胞はブドウ糖とよく似たアロースに騙される。そして吸収できない。
結果的に、アロースを与えられたガン細胞はブドウ糖の吸収が阻害され、増えるに増えられなくなってしまう。メタボの脂肪が増えられないのと同じ原理である。
また、アロースには「活性酸素」を抑制する効果もあるという。
たとえば、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気は、全身の神経が侵され徐々に身体の自由が奪われていく病気だが、その病状の進行を遅らせる効果がアロースにはあるとされる。マウスを使った実験では、発症後の進行を極端に遅らせることに成功している。
香川大学の徳田教授(前出)は語る。
「アロースを元にして、もっと有効な物質を作っていくことができれば、治療薬につながる可能性があります。希少糖は『夢の糖』だと思ってるんですよ、本気で」
希少糖研究の礎を築いた何森(いずもり)教授も語る。
「非常にマイナーで、ほんとに小さくて落ちこぼれですよね、希少糖は。でも、そういうものが生命に新たな一石を投じようとしている。これが一番われわれの大きな夢なんです」
◎必要か? ムダか?
「絆」はヒョンなところにつながっていた。
一時は絶滅寸前のプシコースは、ズイナという特異な植物の内に運命を託し、そして今、人類という強力な味方を得ようとしている。
息も絶え絶えだったプシコースは、ほとんど全ての生物に見放されていたことから、逆にその価値が高まった。
いわば「落ちこぼれ」であったからこそ、そこに新たな価値が生まれた。
ここでは「必要」という価値を問い直さなければならない。
「ムダ」と思えるものが、なぜ存在するのか。もし、それがなくなってしまうのなら、それは本当に不要なものだったのだろう。
だが0.001%でも、蜘蛛の糸一本でも存在をつないでいるのならば、それは「ムダ」なのか?
きっと排除されるべきものは、然るべき時に姿を消すのだろう。
ならば、意味がないと思われながらも存在するものに「ムダ」はない。その時は必要なくとも、ムダと断じるにはまだ早い。
「落ちこぼれ」と呼ばれた糖、プシコース。
たとえ勝者総取りの王者ブドウ糖に圧倒されようとも、0.001%の必要性は確かに存在していた。そして今、人類はもっと必要としている。
落ちこぼれていたのは、決してムダな時間ではなかった…!
(了)
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出典:NHKサイエンスZERO
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