2011年10月21日

想像を超えて放射能に汚染された「飯館村」。「もうガンバレません…。」


福島第一原発の立入禁止区域(20km)圏内のレポートより。



まず、記者が驚くのが、20km圏のギリギリ外側で営業している飲食店があったことだ。

その飲食店は、近所の住人や勤め人で混雑しており、普通にレバニラ定食やらホルモン定食やらを食することが出来る。

その食堂の裏の小川を超えれば、放射能汚染により立入禁止になっているのである。



そこの放射線量はというと、「毎時0.2マイクロ・シーベルト」程度。

東京の自宅の「毎時0.1マイクロ・シーベルト」に比べてそう高くはなく、この数値のままであれば、国際的な基準値である「年間1ミリ・シーベルト」を超えることはまずない。

そこから、立入禁止区域に入っても、当然、放射線量は同じ程度だったという。必要以上に身構えていた記者にとっては拍子抜けの瞬間であった。



記者が驚くのは、ある学校の放射線量を計測した時だ。

その値は、「毎時1.57マイクロ・シーベルト」と急に上昇した。いきなりの危険信号である。

学校の敷地はムキ出しの土が多いため、校舎の屋根などで集められた雨などから、放射性物質を必要以上に集積してしまうのだという。

「放射線の影響を受けやすい子供が過ごす学校に限って、放射線量が高くなる」というのは、よく聞かれる話なのだとか。



立入禁止20km圏内のすべてが安全というこは決してできないが、その圏内であっても、放射線量が東京とさほど変わらぬ地域があることは事実である。

しかし、20km圏内で放射線量が低いからといって、無闇に立ち入ることはできようがない。罰金10万円、もしくは逮捕の刑罰が待っている。



立入禁止でありながら低線量の地域とまったくの対称をなすのが、自由に出入りできるにも関わらず「高線量」の飯館村である。

飯舘村からはチェルノブイリ周辺に匹敵する土壌汚染や、猛毒のプルトニウムまで見つかっている。そのため、村は基本的に無人となっている。

しかし、立入禁止でなないので、出入りは自由である。「平常通り営業して、従業員が通勤している企業もある」という。



ある村人の自宅を測定した時、記者はギョっと硬直する。

「毎時2マイクロ・シーベルト」。明らかに危険値である。

しかし、その村人は平然としたもの。「今日は低いな〜。この前は『4』あったから。」



飯舘村に放射能の雨が降ったのは、震災から4日後の3月15日。

そして、日本政府が飯館村に避難を指示したのは、それから一ヶ月以上たった4月22日。



この一ヶ月間、村民は無策ではなかった。

汚染されて5日後の3月20日には、水道水から規制値の3倍の放射性物質が検出され、一気に警戒態勢に入っていたのだ。

「水を飲むな!!」。怒号のような叫びが村内に響き渡った。

しかし、それまでの5日間ですでに「汚染された水道水を飲み、ご飯を炊き、おかずを煮炊きしていた」。



さらに悪いことには、原発付近から避難してきた1,300人が飯舘村に身を寄せていた。放射能から逃れてきた人々は、不運にもさらなる高汚染地域に避難していたことになる。

可哀想な避難民たちのために、飯舘村の村人たちは雨でズブ濡れになりながらも炊き出しに奔走していたのだという。

この雨こそが悪の元凶であったわけだが……。そしてその炊き出しも……。



現在の飯館村の庁舎には、デジタル式の放射線量計が温度計のようにブラ下がっているのだという。記者が見た時の値は、「毎時2.9マイクロ・シーベルト」。

ある農家の裏山の落ち葉の山は、「毎時12.06マイクロ・シーベルト」。

ある小学校の校舎は、「毎時52.41マイクロ・シーベルト」。

ある民家の排水口では、「毎時353.6マイクロ・シーベルト!?」。



ちなみに「毎時0.25マイクロ・シーベルト」を超えると、年間の被曝量が国際機関の定める「年間1ミリシーベルト」を超えてしまう。

それを踏まえて上記の数値を見てみると、上から規制値の「12倍」、「48倍」、「210倍」、そして「1,414倍!?」。

出入りが自由な飯舘村の異常な高汚染ぶりの一端を垣間見ることができる。



国がコンパスで無機質に決めた「立入禁止」を信じる人は、ここには誰もいない。

頼れるものは国の指示ではなく、現実の放射能測定値のみなのである。



「飯館村は、もうガンバレません。」

そんな村人の言葉に、記者は言葉を失う。



今の飯館村を蝕(むしば)んでいるのは、放射能だけではないのだという。

村人たちは、もうバラバラである。村に残ろうとする者、移住を選択する者、補償金を喜ぶ者……。

対立、いがみ合い、嫉妬…、かつては村で見られることもなかった光景が日常となってしまった。



「人間こそが恐い…。」

最後にポツリと、村人は呟(つぶや)いた。








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posted by 四代目 at 16:38| Comment(1) | 放射能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
韓国ソウル毎時3マイクロシーベルト 中国北京毎時0.799マイクロシーベルト ローマ ロシア 毎時0.25マイクロシーベルト ニューヨーク毎時0.09マイクロシーベルト
Posted by 名無し at 2012年04月09日 12:17
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