2011年10月01日

日本武尊の霊験か? 鳥も畏れるそのオーラ。


鳥が近寄らない「銅像」があるというのも面白い話である。

その銅像とは、金沢(石川)は「兼六園」にある「日本武尊(やまとたける)」像のことである。

igu.jpg


「なぜ、この銅像には鳥のフンがつかないのか?」と疑問を抱いていた「廣瀬幸雄」氏。

その謎は、日本武尊像の改修工事の折に明らかになる。



この銅像は、他の銅像とは「異なる成分」で出来ていた。

何が異なるかと言えば、「ヒ素」と「鉛」の含有量が非常に多いのである。

「はは〜ん、ヒ素も鉛も毒だからか。なるほど。」と思うのは早計である。



本当の秘密は、ヒ素と鉛そのものではなく、その含有比率から誘導される「電磁波」にあった。

異種金属が多いことにより電流が発生し、「鳥の嫌がる電磁波」が銅像より発せられていたのである。

その様をイメージしてみると、あたかも日本武尊の「オーラ」に鳥が近づけずにいるようではないか。



この銅像が建てられたのは、明治13年(1880年)。西南戦争で没した霊を慰めるものであったという。

当然、鳥が近寄れない電磁波はあらかじめ計算されたものではなかった。

それは偶然の産物である。



当時の銅像造りの技術では、銅を溶かす温度が十分に上げられなかった。

そのため、銅が溶けやすいように「ヒ素と鉛」を混合したのだそうな。

後々に分かることであるが、この「ヒ素と鉛」の割合は多すぎても少なすぎても、鳥の嫌がる電磁波が出ないとのことである。

まさにタマタマ、そういう割合になったということである。



この発見をした「廣瀬幸雄」氏は、見事「イグ・ノーベル化学賞」を受賞した(2003)。

「ん?ノーベル賞でしょ?」

ノーベル賞ではなく「イグ」ノーベル賞である。これは「裏」ノーベル賞とも言われるユニークな賞である(頭に「イグ」をつけると反対の意味になる)。

この賞は「人々を笑わせ、考えさせてくれる研究」に与えられる賞であり、他の日本人の受賞者には、バウリンガル(犬の鳴き声を翻訳する機械)の発明者などもいる。



イグノーベル賞はバカバカしくも楽しい賞ばかりであるが、とても実用的な研究も少なくない。

廣瀬幸雄氏の銅像の研究もそうであり、鳥が近寄れない電磁波の技術は「カラスよけ」として応用されているのだという。



さらに余談ではあるが、日本武尊(やまとたける)に関する雑学を。

名前を聞いたことはあるけど、日本武尊が何をした人か知らない人は多いように思う。

生年は「西暦72年頃〜113年頃」、古事記や日本書紀に登場する神話的な人物である。



日本武尊の人生は、戦いの一生である。

九州(熊襲)を征伐するのを皮切りに、出雲(島根)、吉備(岡山)、難波(大阪)と次々に邪神を退治してゆく。

西方の討伐を終えるや、次は東国である。



さすがの日本武尊も東国では少々手こずる。

相模では「火攻め」に遭う。ここで登場するのが有名な「草薙(くさなぎ)の剣(天叢雲剣)」である。燃える草をこの剣で薙ぎ払うや、逆に敵を焼き尽くしてしまう(この地が焼津となる)。

相模から上総(千葉)に渡る海では「大波」に遭う。この大波を鎮めるために海に身を投げるのが、日本武尊の妻である。

日本武尊は東国を平定した後、「わが妻よ…」と三度嘆いたと伝わる。「わが妻 = 吾妻 = 東(あづま)」ということで、東国は「あづまのくに」と呼ばれるようになったのだとか。



東国平定の帰途、日本武尊は伊吹(滋賀)の神との戦いで病の身となり、伊勢を経て、熊褒野(三重)の地にて没する(享年30歳前後)。

死して後は「白鳥」になり天へと翔けてゆく。



このような人物に「鳥」が近寄れないというのも、面白い偶然である。

ついついスピリチュアルな解釈を試みたくもなるが、それが化学的なものであったというのも「幽霊の正体見たり…」のようだ。

それでも、この偶然を引き寄せたのは日本武尊の「霊験」か?





「日本古代の歴史」関連記事:
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幻の邪馬台国、謎の女王・卑弥呼とともに。

神話を忘れた国民は100年続かないという。



出典:爆問学問
「笑うイグノーベル賞SP〜世界を変えた発明編」


posted by 四代目 at 06:13| Comment(53) | 古代史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 島根県安来市に巨大な工場を構える日立金属が開発した新型工具鋼 SLD-MAGIC(S-MAGIC)は微量な有機物の表面吸着により、金属では不可能といわれていた自己潤滑性能を実現した。この有機物の種類は広範囲で生物系から鉱物油に至る広い範囲で駆動するトライボケミカル反応を誘導する合金設計となっている。潤滑機械の設計思想を根本から変える革命というものもある。
 このトライボケミカル反応にもノーベル物理学賞で有名になったグラフェン構造になるようになる機構らしいが応用化の速度にはインパクトがある。
Posted by 熱処理トライボロジー at 2012年11月13日 20:55
最期のラストサムライが今年5月定年になられるそうですね。とても感慨深いです。
Posted by 東京練馬区 at 2015年10月11日 20:31
日立安来海綿鉄プラントか。たたらをも凌ぐ品位。日本刀も出来たらしい。
Posted by 大阪摂津市 at 2015年10月11日 20:34
先人達の努力と魂が現在の日立金属安来工場の発展の礎になってるのでしょうね。強い伝統に感謝しています。ハガネの街安来市の誇りですね。一度行ってみたい街です。
Posted by 東京 at 2015年10月28日 21:22
たたら、海綿鉄の凄さはあまりにも有名。ものづくりの並々ならぬオーラを放つ日立金属安来工場。冶金研究所もあるそうですね。
Posted by 京都大学 at 2015年10月30日 23:13
十神山の緑が海に映る安来港。味のある港ですね。
Posted by 京都市 at 2015年10月31日 22:08
あの、安来の地で、数々のものづくりの凄まじいドラマがあったとは、ハガネの街。ヤスキハガネ。十神大橋から見る中海はまるで中国の山水画のように美しい。
Posted by 石川県在住 at 2015年11月06日 22:04
あの、海綿鉄を何千tも供給したなんて、日立安来
の技術は凄い。実験炉だけでも極めて困難。電気炉で溶解するまでは、途方もない苦労がある。それをすべて経験した人は、今の時代ではいないはず。タイムトラベラーに見える。
Posted by 静岡 at 2015年12月12日 22:04
安来和鋼博物館で見るシャーレに入った砂鉄のボールに凄まじいものづくりの物語が見える人がどれほどいるのだろうか。私には衝撃に見える。
Posted by 名古屋 at 2015年12月17日 22:18
改めて知る特殊鋼のメッカ、安来だな。
Posted by 広島 at 2015年12月29日 18:52
あの海綿鉄製造に関わりアーク炉白銑塊を多量に溶解したなんて、まさに鉄鋼界のピラミッドだ。それが、SLD-i,航空機材、刃物鋼、アモルファス、ファインメットに進化し特化しているのでしょうね。ロマンを感じます。
Posted by 大阪門真 at 2016年02月20日 21:01
島根の安来の和鋼博物館の隅に恐ろしくひっそりと海綿鉄が展示してあった。それが、逆に私の心をとらえた。
Posted by 東京港区 at 2016年02月25日 20:20
海綿鉄還元操業は毎日が死線の思いをしたはず、彼らの労苦を忘れてはならない。今から想えば偉大な人達だった。
Posted by 大阪茨木 at 2016年03月02日 21:26
日立安来工場圏のものづくり、すげえ。
Posted by 祥太郎 at 2016年03月14日 21:07
そこって、島根の安来の日立金属さんですよね。電車の窓から、とても大きな工場が見えました。
Posted by 石田信夫 長野 at 2016年03月15日 20:00
先日島根の安来の和鋼博物館に行ってきました。ほとんど、たたら製鉄が展示されていましたが、海綿鉄に、鳥肌が立つほど、強い印象を受けました。本物の迫力とでも言いましょうか。何ともミステリアスな工場とみた。
Posted by 浜部 at 2016年03月21日 17:45
島根の安来でアモルファス、ファインメットを懸命に育てている工場があるとか。世界経済がマッチすれば、ブレークするだろう。
Posted by 鉄鋼界 at 2016年04月07日 22:07
海綿鉄のルーツ、たたら製鉄が日本産業遺産に指定されたそうだ。凄いですね。益々脚光を浴びる安来工場圏のものづくり力。
Posted by 職人魂 at 2016年04月26日 17:56
砂鉄、粉砕、ケーキ、ボーリングドラム、焙焼、低温還元、脱硫、再生、循環、海綿鉄、アーク炉で溶解、精錬、鋳込み、インゴット。天水刀、凄い技術だ。
Posted by 鉄鋼研究 at 2016年08月09日 09:06
私も安来市役所横の旧和鋼記念館で、海綿鉄から、作られた、日本刀を見たことあります。ギラリと重く光る刀が展示してあった。
Posted by 川崎 at 2016年09月03日 16:57
安来の包丁はよく切れ,錆びにくい。安来鋼は、ステイタスだ。どこで、手に入る?
Posted by 群馬 at 2016年09月04日 10:58
島根の安来和鋼博物館前に展示されている、砲弾のようなインゴットが、あの白銑塊か。
Posted by 広島県三次市 at 2016年09月16日 20:41
足立美術館へ行った帰り、和鋼博物館に立ち寄りました。屋外に展示されている、インゴットが海綿鉄をアーク炉で溶解した白銑塊ですね。今のヤスキハガネの礎なっていたはず。
Posted by 福山市 at 2016年10月08日 17:25
日立金属安来工場恐るべし、凄すぎる、解かる人には判ります。
Posted by プレス技術者 at 2016年10月10日 09:10
神秘のベールに包まれた、海綿鉄ですね。何万トンも供給したと聞いた。驚きです。
Posted by 千葉大出身 at 2016年11月18日 22:25
日立安来は伝統の魂と、超ハイテク技術が融合した巨大工場ですね。冶金研究所も注目されます。地元に根差した企業方針も、今の時代感心しています。地元でも期待される、工場ですね。
Posted by 名古屋ドーム at 2016年11月25日 19:50
あの海綿鉄の存在が、現在の日立安来工場の発展の礎になっているのは、間違いない。砂鉄なこだわった現代のたたらだ。解かる人には解かります。
Posted by 鉄鋼研究者 at 2016年11月28日 23:29
砂鉄をボールにするとき、崩れないだろうか?何を混ぜているのだろうか?興味がある。
Posted by 深尾 at 2016年12月07日 20:55
MADE IN JAPANの神髄。誇りを感じます。
Posted by 町工場 at 2016年12月07日 22:58
ヤスキハガネのスピリットに感動しました。
Posted by 大紺の大空の防人 at 2017年03月05日 18:48
安来海綿鉄の存在は国立東京科学博物館で知った。その、ノウハウはベールに包まれている。
Posted by 上野 at 2017年03月11日 09:47
かって優秀な海綿鉄の凄い製造技術と溶解技術と不屈な忍耐力が、今日の発展の礎になっているのは間違いない。エキサイティングな気持ちにさせますね。感心しています。
Posted by 悲しい時はいつも at 2017年03月26日 22:49
そこから、たどり着くのは、安来和彊会の存在ですね。生きたノウハウの塊です。貴重な存在だ。
Posted by 吉野 at 2017年03月31日 09:17
それって、学術的にも、価値のある技術ですね。興味があります。
Posted by 東京練馬 at 2017年05月11日 08:30
砂鉄の焼成ボールをコークスで発生させたH,COガスを燃えながら循環させ、還元して生産される巨大なシステム。極めて品位の高い素材だ。
エキサイティングな気持ちにさせますね。
Posted by 玉鋼 at 2017年05月20日 09:08
島根大学の客員教授である久保田邦親博士らが境界潤滑の原理をついに解明。名称はCCSCモデル「通称、ナノダイヤモンド理論」は開発合金Xの高面圧摺動特性を説明できるだけでなく、その他の境界潤滑現象にかかわる広い説明が可能で、更なる機械の高性能化に展望が開かれたとする識者もある。幅広い分野に応用でき今後潤滑油の開発指針となってゆくことも期待されている。
Posted by パラダイムシフト at 2017年06月18日 12:19
今や、世界では、スウェーデン鋼か日本の安来鋼かといわれるくらい、トップレベル。感心以外見つからない。島根の安来。
Posted by 札幌 at 2017年06月27日 21:34
忘れマジ。安来海綿鉄の戦士達。日本産業発展の礎だ。
Posted by パラレルワールド at 2017年09月18日 10:37
日立金属安来工場さん頑張ってますね。安来エリア。安来和彊会オーラを放ってますね。素晴らしい。
Posted by 川西市 at 2017年11月13日 22:05
島根の安来和鋼博物館って図書館がある施設ですよね。白銑塊インゴット。大砲、SLが印象的です。
Posted by 浜田 at 2017年11月13日 23:25
私も昔、化学分析ビューレット法で、分析したことがあるが、その品位の高さに驚愕したことが、印象深い。
Posted by 分析屋 at 2017年11月27日 20:49
本当に、高次元からのメッセ―ジに思えますね。
Posted by ダークエネルギー at 2017年11月27日 20:52
ハイス、航空機材、安来和彊会って有名ですね。よく聞きますよ。
Posted by 門田 at 2018年02月05日 23:16
電気自動車のクラッド材の受注が増大してる。これぞ、アドバンテージだ。
Posted by リチュームイオン電気自動車 at 2018年02月10日 00:04
現在も日立金属安来は繁忙感高らしい。
Posted by 投資家 at 2018年04月15日 14:52
有機EL技術も取り組みだしましたね、日立安来工場快進撃だ
Posted by エレクトロルミネッセンス at 2018年06月02日 20:17
忘れマジ、先人達の真の心意気。島根の日立金属安来工場さん。私も鳥肌が立つほどですよ。
Posted by 東京 練馬 at 2019年01月06日 22:58
SLD-MAJIKUも評判いいですね
Posted by 金型屋 at 2019年02月14日 22:56
今、私が気になる存在は日立金属安来和彊会の存在とその人々です。敬愛に値します。
Posted by 元京都大学大学院生 at 2019年03月27日 09:14
 金型屋さんそれはSLD-MAGICです。マルチスケール合金設計は素晴らしい論文ですね。
Posted by 播磨謙一 at 2020年09月13日 11:38
なんかプロテリアルに名前が変わったようですね。
Posted by グリーン経済 at 2023年01月10日 00:00
ピストンリングの伸線ダイスのこと精密工学会で話せばいいのに。
Posted by バイオデジタルエンジンイノベーション at 2023年05月30日 06:54
東出雲市ってどこ?
Posted by 風立ちぬ at 2023年07月26日 22:31
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