「日の丸弁当を食べていれば、日本人は健康になれるの。」
そう言うのは、御年74歳ながらも矍鑠(かくしゃく)たる「スーパーおばあちゃん」こと「若杉友子」さんである。
かつては、「貧乏の象徴」であった日の丸弁当を食えと言うのである。
ちなみに、日の丸弁当とは「白いご飯」の真ん中に「梅干し一つ」という、さながら「日本の国旗」のような立派なお弁当のことである。
「カロリー、カロリーという人達は、すっかりアメリカに洗脳されてしまっているわね。
日本人のカロリー摂取量を上げようとしたのは、日本にアメリカの農産物を売り込みたいからじゃない。」
若林さんは常人の2倍のスピードでしゃべるそうだ。彼女の言葉は通常の2倍のスピードで読んで頂きたい。
「日本人が肉ばっかり食べていたら、身体に良いことは一つもないわ。
口に極楽、腹地獄というやつね。」
若林さんはスクワット70回を平気でこなすそうだ。
「牛乳を飲んでも背は高くならないわ。
お子さんの背を高くしたいなら『タケノコ』。タケノコは上に向かって伸びる『陰性』の強い食材。旬の季節(春)にタケノコを子供に与えると背が高くなるの。子供は強い『陽性』だから。」
食材に「陰と陽」があると考えるのは、古来より伝わる陰陽五行説を根拠としている。
「陰と陽」はどちらも一長一短であり、「両者(陰陽)のバランスをとる」ことによりはじめて両者の長所を引き出すことが可能となる。
明治期の石塚左玄によれば、「陰と陽」を科学的に説明すれば、「ナトリウムとカリウム」ということになる。
たとえば、夏は陽性であり、この季節には陽性の臓器である「肝臓」が強くなりすぎる。このバランスをとるには、陰性の「酢の物」を食することが効果的となる(陽性を抑える)。
また、「冷え」は陰性であり、このバランスをとるには陽性の食べ物が必要となる。
魚(陽性)に塩(陽性)をふって、火で焼き(陽性)、醤油(陽性)をかける。そうすれば、陰陽のバランスを保つことができる(陰性を抑える)。
ちなみに、ヒロシマの原爆で被曝した人々に「塩」を積極的にとるように勧めていた医者がいたという。
なぜなら、「放射能」は陰性で、「塩」は陽性だからである。間違っても「砂糖」を取り過ぎてはいけない。砂糖は陰性であり、放射能の影響を増長してしまうからである。
放射能技師たちが体調を崩した時、その治療法として「濃い食塩水」を飲ませるというのがあったそうである。
「玄米飯(陽性)にうんと塩(陽性)をつけて握るんだ。
塩辛い味噌汁(陽性)をつくって毎日食べさせろ。
そして、甘いモノ(陰性)は避けろ。砂糖(陰性)は絶対にいかん。」
放射能の被曝者たちにこう指導したのは、秋月辰一朗医師である(致知9月号)。
ちなみに「米や塩」でも精製されて真っ白なモノは「陰性」である(未精製であれば陽性)。精製された真っ白な砂糖は「極陰性」となる(未精製であっても陰性)。
放射能や化学薬品、食品添加物や農薬、これらは全て「極陰性」であり、「溶血・溶細胞」の作用をもつとされる。
これらに共通することは、人の手によって作られたモノであるということである。これらに対抗するには、できるだけ自然に近いモノが有効と考えられる。
日本の伝統的な食事は、季節を大切にしていることもあり、自然と陰陽のバランスがとれているものが多い。
しかし、西洋由来の食事には注意が必要である。
たとえば、「肉」を食べ過ぎれば、「甘いモノ」が欲しくなる。肉は陽性で甘いモノは陰性であるので一見バランスが良いようにも思える。
しかし、肉も甘いモノの極端に陰陽の力が強いため、陰陽のバランスはアッチへ行ってコッチへ戻るといった具合で、必要以上にバランスが崩れてしまう。
現在のスーパーでは、あらゆる食材が一年中手に入るため、食材の旬が判然としない。
季節感を無視することは、陰陽を無視することにつながり、ひいては不健康を招いてしまう。
便利さがアダともなりかねない。しかも、ご丁寧に食品添加物のオマケつきである。
カロリー偏重、西洋科学偏重の食の常識に「No」を突きつけるスーパーおばあちゃん。
若林さんは縄跳びも100回連続で出来るそうである。
彼女はハツラツと料理教室で指導を続けている。
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