「今年はもうダメか……。」
誰もがそう思っていたという。

ところがっ、諦めかけていた漁師のほとんどが海に戻ってきたのだという。
彼らは8月2日のサンマ漁解禁の日に、北海道の釧路港に大集結していた。
彼らの船をよく見ると、日本各地の地名が書かれている。遠くは三重県から船を調達してきた漁師もいる。
一度は失ってしまった漁船であったが、彼らは日本中走りまわって必死で調達してきたのだ。
「借金の山だよ。倒産ギリギリ。」
もう一歩も後へは退けない。

不退転の決意のもと、漁に出る男たち。
彼らの胸にはある想いがあった。
「ご支援いただいた日本全国の方々に、なんとしても報いたい。
みんなに『光るサンマ』を食ってもらいたい。」

神は味方した。
大漁である。
今年のサンマは、ひときわ光り輝いている。

すべてを奪っていった海は、今ふたたび富をもたらし始めている。
出典:目撃!日本列島
「海へ ふたたび〜北海道沖 サンマ漁」