2011年08月10日

知的障害者が社員の7割を超える会社がある。幸せとは何か?を教えてくれた先生たち。

「学校で使うチョーク」を作る工場。

ここで働く従業員の「7割以上(74人中55人)」が、「知的障害者」である。

彼らの仕事は、予想に反して、「動きにムダがなく、素早い」。健常者以上の精勤ぶりである。彼らの半数が「重度の障害者」とは、まったく思えないという。


会社(日本理化学工業)の業績も「好調」である。

ホタテ貝の殻(炭酸カルシウム)を原料にした「粉が飛び散らないチョーク」は、「国内トップシェア」を誇る。



なぜ、この会社は「知的障害者」をこれほど多く雇うに至ったか?

そのキッカケは、およそ50年前(1959年)、養護学校の先生が、「生徒を就職させてください」と、この会社にお願いに来たことであった。



当然、会社側は断った。

それでも、先生は必死に食い下がる。「体験だけでもっ……」。

何度断られても、何度も先生は会社を訪れた。

根負けした会社側は、「2週間だけなら……、」と、2人の少女(15歳)の受け入れに同意した。



意外なのは、その2週間後である。

会社の社員が、「あの2人を雇って下さい!自分たちが面倒を見ます!」と懇願するのである。



2人の少女の仕事ぶりは、それはそれは「真剣」そのものだった。

箱にシールを貼るという単純な仕事に、「無心」に励んだ。

「もう昼休みだよ」と言っても、いっこうに手を休める気配もない。

一緒に働いた社員は、その仕事ぶりに大きく心を動かされたのである。



社長の大山氏は、社員の熱心さに押されて、2人の雇用を約束する。

しかし、なぜあの2人が熱心に働くのかという疑問が頭から離れなかった。「施設にいれば楽ができるのに…」。

その答えを与えてくれたのは、ある禅寺の住職であった。



「人間の『究極の幸せ』は何だと思いますか?

それは次の4つです。

人に愛されること。

人に褒められること。

人の役に立つこと。

そして、人に必要とされること。

愛されること以外の3つの幸せは、『働くこと』によって得られます。

障害を持つ人たちが働こうとするのは、本当の幸せを求める人間の証なんですよ。」



この言葉を聞いて以来、大山社長の考えはガラリと変わる。

「少しでも多くの障害者に、働く場所を与えよう!」



普通の会社は、「できるだけ優秀な人間」を採用したがる。

ところが、日本理化学工業が行ってきたことは、「まったく逆」のことである。

文字や数字を理解できない「社会的弱者」を雇ってきたのである。それでも、業績を伸ばし続けた。



社員が会社に合わせるのではなく、会社が社員に合わせる必要があった。

社員が仕事に合わせるのではなく、仕事を社員に合わせる努力が重ねられた。

ハカリの数字が読めないならば、色のついたオモリを作ればよい。



「ひとたび彼らが仕事を覚えれば、健常者よりも集中した。そして、定着率も良かった」という。

「謙虚な気持ちになれば、知的障害者は私たちの『先生』だった。」



「働けど働けど、給料が上がらない」と愚痴る健常者がいる一方で、与えられた仕事に感謝して無心に取り組む障害者もいる。

「思い通りにならない」と不満を鬱積させる健常者がいる一方で、自分に与えられた宿命を粛々と受け止めている障害者もいる。

「働く意義」が希薄化している現代社会にあって、彼らの仕事ぶりは一筋の光明である。



「幸せ」とは何なのか?

先進国に生きる人間ほど思い悩むこの問いに、身をもって答えを出している人々が、今日も一生懸命にチョークを作り続けている。





posted by 四代目 at 15:31| Comment(0) | 企業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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