2011年08月09日

世界の「魚」は減っているのか? すごい勢いで「地球の貯金」を使い続ける人間たち。

よく聞かれる言葉に、こんなものがある。

「昔は魚がいっぱい獲れたけど、近頃じゃ……。」

魚は減っているのか?



世界の海の「魚」が減っていると気づき始めたのは、1990年代。

カナダで「タラ」が捕れなくなったことから、その問題は世界的なものとなった。

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もちろん「魚は減っていない」との反論もあった。なぜなら、世界の「漁獲量」は依然として増え続けていたからだ。

「魚が獲れ続けているのに、魚が減っているはずがない。」



そんな反対派が真っ青になったのは、2000年に入ってからである。

彼らの拠り所としていた「漁獲量」のデータが、不正確であることが判明した。

中国の「漁獲量」は、実際よりずっと少なかった。地域の役人たちは、手柄を上げるために「漁獲量」をとんでもなく「水増し」していたのである。

データを適正化した結果、やはり世界の「漁獲量」は減っていたと判った。



ある統計では、ここ50年で「90%」も魚が減ったとしている。

しかし、反論もある。「そんなに減っていない。せいぜい70%減だ。」

どっちにしろ、「半分以下」になっているのは確かなようである。



魚が獲れなくなって、一番困ったのは、地元の漁師たちである。

大型漁船は、巨大な網で魚を根こそぎにできるが、小さな船では、魚が獲れなくなった。

魚が激減した主因は、大型漁船による乱獲であるにもかかわらず、そのトバッチリは小さな漁師たちを直撃したのである。



世界的な話し合いがもたれるも、政治的な合意は状況を好転させることはできなかった。

「漁獲割り当て」という制限は、じつにユルいものであり、逆にその制限が問題をややこしくしてしまった。

西アフリカの小さな国「セネガル」は、その「漁獲割り当て」を先進国に売却するようになった。そうすると、「セネガル」の漁師は、魚が獲れなくなる。その結果、地元漁師は職を失った。

大型漁船が、小さな漁船を駆逐したように、大国が小国の漁業を奪ってしまった格好になった。

いつも、いつも、歪(ひず)みの「シワ寄せ」は弱者に行ってしまうようである。

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大型漁船の網は、よほどに巨大らしい。

その網には、大型旅客機が13機も入ってしまう。

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巨大な「底びき網」は、海底のサンゴなどをぶっ壊しながら、ずるずると引きづられてゆく。

リンゴを収穫しようとして、リンゴの木を切っているようなものである。

再生不可能である。



人間に人気の魚以外は、乱獲されないものの、間違って網にかかってくれば捨てられる。そうした魚は、漁獲量全体の一割にも及ぶという。

人間が好きな魚だけを獲り続ければ、当然、生態系のバランスは崩れる。

ある海域では、「エイ」が異常繁殖し、またある海域では「ロブスター」が増えまくった。エイは食わないが、ロブスターは食えるので、タラ漁からロブスター漁に転換した漁師もいるという。

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しかし、ロブスターまでいなくなってしまうと、次に残るのは……、プランクトンと泥だけになってしまう。



それなら、「養殖」をすれば良いのでは?

しかし、養殖をすればするほど、海の魚は減るというジレンマもある。

なぜなら、養殖魚のエサ(片口イワシなど)は、海から取ってこなければならない。そして、養殖魚1kgを育てるためには、その5倍のエサを必要とする。

つまり、養殖魚を食べれば、その5倍の勢いで天然の魚が犠牲になっているということである。

それならば、養殖魚のエサとなる片口イワシを人間が食べれば良いではないかとなってしまう。



本当の問題は、「魚が増えるペース」を「人間が食べるペース」が上回ってしまったことだ。

今まで海が少しずつ増やしてきた魚たちを、人間があっという間に食べてしまった。

この構図は、水産資源に限らず、あらゆる資源で問題になっている。

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先進各国は、貯金をするどころか、「借金」に苦しんでいる。

今あるお金どころか、将来のお金をも使ってしまったのだ。

農業もそうであろう。土地の力は弱まり、化学肥料をやらなければマトモな作物は育たない。

これも、今まで土が貯めてきた栄養を使い切ってしまい、しょうがなく薬で延命しているような状況である。当然、その副作用も覚悟しなければならない。

海は海で、魚が自然に増殖する個体数を割ってしまっている。海の貯金はすでに底をつきかけているのかもしれない。



ここ100年間くらいで、人間たちは何億年という地球の蓄えを消費してしまっている。

石油もなくなれば、魚もいなくなる。種を植えても、ロクに育たない。

生産性を回復できる方法はあるのだろうか?



シンプルに「待つ」ことも大切である。

マグロなどはしばらく「おあずけ」になるかもしれない。

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出典:BS世界のドキュメンタリー シリーズ
 第3回 もう一度見たい!世界のドキュメンタリー
 「海から魚が消える日」




posted by 四代目 at 08:21| Comment(0) | 自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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