2011年07月29日

なぜ今、数学ブームなのか? 不信うずまく現代の救世主。

今、「数学」が静かなブームに沸いているという。

普段は売れないような難しい数学の本も、スパスパと売れているのだそうな。

問題を解いていく「快感」が、人々を魅了しているというが…。



江戸時代、日本の数学は「和算」という形で、大いに発展した。

そのキッカケは、1627年の吉田光由による「塵劫記(じんこうき)」。

ナゾナゾのように面白い数学の問題が江戸の庶民を魅了し、この本以来、みんなで競うように面白い問題を考え出すようになったという。

日本の神社には、「算額」というものが約820点残されているが、これらは「数学の問題が解けたことを神仏に感謝し,ますます勉学に励むことを祈願して奉納された」ものである。

日本最初の数学ブームの幕開けであった。



「関孝和」などは、「正13万1072角形を使い、円周率を小数点以下11桁まで求めた」という。その数学レベルは、鎖国のなかにありながらも、西欧世界と何ら遜色のないものだった。

これほどまで熱狂した日本独自の数学「和算」が消え去るのは、明治政府が、「和算を廃止し、『洋算』をもっぱら用ふるべし。」としたためである。



現在、ブームとなっているのは、もちろん「洋算(普通の数学)」に他ならないのだが、日本人のDNAには、江戸時代に培われた「和算」の魂が息づいていることも忘れてはならない。



さて、いつの時代にも人々をトリコにする「数学」は、実に「理論的」なのである。

その解答は不変であり、正確な手順さえ踏めれば、誰にでも解答に到達できるものである。



たとえば、三角形の「ピタゴラスの定理」は、およそ20の「簡単な論理」の上に成り立っている。

どんな難しい論理でも、いくつもの「簡単な論理」の上に成り立っていると言える。ただ、難しい論理であればあるほど、より多くの「簡単な論理」が必要になってくる。

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数学史上、最も難解な問題の一つとされ、「人類の至宝」とまで評される「オイラーの等式」は、なんと数千もの「簡単な論理」が必要である。

それでも、地道に取り組めば、この「オイラーの等式」ですら解読が可能となるのである。

その達成感が人々を魅了するのか、「オイラーの等式」を解説した本、「オイラーの贈物」は堂々のベストセラーとなっている。




人類の至宝、「オイラーの等式」とは?

この等式に出てくる意味不明な記号は、「e」と「π」と「i」。

「e」は、「ネイピア数」といわれ、その値は「2.71828 18284 59045 23536 02874 71352 …」。

「π」は、「円周率」であり、その値は「3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288 …」。

「i」は、「虚数」という、2乗すると「−1」になるという、現実には存在しない数。「i」は「imaginary」という単語の頭文字で、その意味は「架空」「想像」である。

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これら、意味不明で書き表すことすらできない摩訶不思議な記号たちが、「オイラーの等式」の手にかかれば、なんと「−1」という、実に単純明快な回答に落ち着くのである。

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この不思議は、じつに魅力的である。

最も複雑な数が、最も単純な数に帰結するのであるから。



しかし、この単純な数までの道のりは途方もない。

この難解な数式を理解しようと頭を悩ます人々は、こう言う。

「もはや、これは『行(ぎょう)』である。」

コツコツと真理を求めていく行為は、修行僧のようだと言うのである。

この辺もまた、たまらない魅力なのかもしれない。



数学的な「思考法」は面白い。

どれだけ難解な問題でも、それは「簡単な問題」を積み重ねた結果であると考える。

難解な問題を解決するコツは、その中に潜む「簡単な問題」を見つけ、「小さな解決」を積み重ねることである。



こうした数学的思考法を解説した書が、「いかにして問題をとくか」。

この本は、50年も前に日本語訳が出版され、いまだに売れ続けているという超ベストセラーである。




本書でよく目にするのが、「似た問題」というフレーズである。難解な問題を解決するためには、それに「似た問題」に解決の手がかりを求めるという手法が多用される。

たとえば、「原子力」の問題を解決したいのであれば、それに「似た問題」を探し、少しずつ解決策を探っていくのである。



現在、数学が見直されてきている背景には、現代の「人間不信」があると言われる。

先進国で問題となる「債務(借金)」は、貸した金が返ってこないのでは?という「不信感」に根差している。

価値観が多様化・複雑化しすぎた結果、何を信じてよいのか分からない。



かつては、宗教がこうした時代の拠り所となったのかもしれないが、現代の宗教は、テロや物騒な事件の温床となっており、おいそれと近寄れるものでもない。

ところが、「数」は実に忠実であり、必ず答えがある。

何を信じていいか分からない時代にあって、これほど信頼できるものがあることは暁光である。

さらに、現実問題の解決策ともなりえるというのだから、ますます万々歳である。



「数学」と聞いただけで、ドン引きしてしまう人も多いかもしれないが、少しでも興味があれば、「語りかける中学数学」を読んでみると良いかもしれない。




この書は、今回の数学ブームの火付け役となった、わかりやすい入門書である。

「まさか自分が」と思っているほど、ハマってしまうかもしれない。




「数字」関連記事:
外国人には不思議な不思議な「日本の数字」の話。日本人は数字で遊びすぎ?

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出典:クローズアップ現代
「“数学ブーム”の謎を探る」


posted by 四代目 at 12:30| Comment(1) | 教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 ≪…「オイラーの等式」…≫の≪…意味不明な記号は、「e」と「π」と「i」…≫と
[1]と[0]と[∞]で語る[絵本]「もろはのつるぎ」で⦅自然数⦆の[本性]を・・・

  ちいさな駅美術館 Ponte del Sogno (JR 藤並駅) に 
令和二年一月七日〜令和二年一月二十四日
       で・・・ 
Posted by 絵本のまち有田川 at 2020年01月06日 13:56
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