「ソーラー・インパルス」という飛行機は、ガソリン燃料を全く使わずに、太陽エネルギーのみで飛行できる、世界初の航空機である。
アダ名は「トンボ」。エアバス340ほどの翼長(63.4m)をもちながら、胴体はプリウスほどの重さ(1,600kg)しかない。
平均時速は70kmと遅めだが、普通の飛行機同様の高度8,500mまで上昇することができる。
また、昼間のエネルギーを蓄積しておくことにより、夜間でも飛行可能である。実際に26時間以上、ブッ続けで飛ぶことにも成功している。
普通の飛行機との違いは?
「まず、飛べば飛ぶほどエネルギーを獲得することができる。そして、騒音が少ない。」
かつてはスイス空軍のパイロットであった「ボルシュベルグ」氏は語る。
この奇跡の飛行機は、その存在自体もさることながら、そのメッセージ性に重要な価値があるという。
「化石燃料というのは、量に限りがあるのだから、使えば使うほど価格が上昇していくのは、明白な経済理論です。」
「私たちは、別の理論に向かわなくてはならない。」
「再生可能エネルギーというのは、使えば使うほど、価格が安くなる。」
新しいことをやるのが大好きな「ボルシュベルグ」氏は、なおも熱く語る。
「確実とされることを、さらに問い直す。それこそが、パイオニアスピリットです。」
「現代社会では、多くの人々が過去の考えや方法に固執しすぎています。」
彼は、日本に大きな期待を寄せているという。
「日本人ならば、大災害を機に、グリーンテクノロジーのリーダーになることが全く可能だと思います。」
「なにせ、日本は戦後の驚嘆すべき復興を成し遂げて、強くなった国なのですから。」
「発電ということだけで考えると、原子力に代わるものはないということになってしまう。しかし、ガスや石油、再生エネルギーも含めて、トータルな視野に立てば、原子力の占める役割は、非常に小さい。」
日本、そして世界は、確実な岐路にいる。
「使ったらなくなるもの」に固執するのか?
それとも、「使うほどに可能性が広がるもの」に目を向けるのか?
こうした自明の理を問われること自体、現代文明は、まだまだ「原始的な域を出ていない」といえる。
「なくなるもの」を珍重するあまりに、その奪い合いが起き、世界的な覇権争いへとつながってゆく。ひとたび権利を手にした人々は、その既得権益を失うまいと暗躍し、世界を歪めてゆく。
世界は「行き止まり」と分かっている道を、ヒタ走っている。もうドンツキの壁が見えてきたにも関わらず、見てみぬ振りをしようと必死である。
本当に固執する価値のあるものとは何なのか?
本当に確実なものとは何なのか?
この世界には、まだまだ「疑う余地」が多分に残されている。
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2011年07月13日
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