ブラジルの通貨「レアル」高騰の背景には、「ミセス・ワタナベ」がいるのか?
「ミセス・ワタナベ」とは、日本の主婦投資家の代名詞であり、円を売って、金利の高い通貨(もちろんレアルなど)を買う勢力のことである。
この勢力の力は侮りがたく、時には、相場を大きく動かす。ハゲタカといわれるプロディーラーでさえ、一目置く存在である。
その力かどうかは定かではないが、日本人は月間40億ドル(3,200億円)を、ブラジルのレアル買いに注ぎ込んでいるという。
ブラジルのGDPは昨年7.5%拡大、今年の見込みでも4%が期待されている。さらには、オリンピック、ワールドカップ(サッカー)も控えている。
好景気はインフレ(物価上昇)を引き起こす。ここ数ヶ月はインフレ目標の6.5%を超えたため、それを抑制するために、4回にわたり「利上げ」し、現在の政策金利は「12.25%」である。
日本人がブラジルのレアルを買いまくるのは、この高金利に魅せられてのことである。ご存知、日本(円)の金利は世界一低い。そのため、円を売って、レアルを買えば、その利子収入が得られるという算段である。
ブラジルとて、外国資本は必要としている。
「ブラジルがGDP5%の成長を維持しようと思えば、少なくともGDP23%を投資しなければならない」。
ところが、ブラジルの「国内貯蓄はGDP16%に満たない」。差額のGDP7%分は、外国からの資金に頼らざるをえないのである。
ところが、あまりにも外国資金がブラジル国内に流れ込むと、困ったことになる。
ブラジルの通貨が「過大評価」されてしまって、その価値が跳ね上がってしまうのだ。
通貨の価値が上がれば、自国の製品を輸出することが難しくなり、国内産業に打撃を与える。それが、引いては経済成長の足を引っ張ることとなる。
成長に外国資本は欠かせないものの、必要以上の外国資本は国を害することとなる。
現在のブラジルでは、害毒となるほどに外国から資本が集まっており、マンテガ財務省は「通貨安戦争」と発言し、苦言を呈していた。
この戦争は、アメリカの量的緩和(ドルの大量発行)が主因とされていたため、このバラマキが終わることを、ブラジルはひたすら待ち続けた。
しかし、先月終了したアメリカの量的緩和後、ブラジル・レアルは「12年ぶり」の高値をつけた。
ブラジル買いの勢いは止まらなかったのである。
成長を「促進する要因」があれば、必ずそれを「抑制する要因」も芽を出してくる。
その舵取りこそが国家運営には欠かせない。
しかし、マネーの動きには奇妙なところがある。一度流れ出すと、ひたすらその方向に流れ続ける。そして、逆流すればしたで、新たな方向へと流れ続ける。
それは、欧米の投資スタイルが、追っかけ型だからである。価値が上がるものは、とことん買って、ドンドン値を上げるし、価値が下がるものは、とことん売って、ドン底まで突き落とす。
どんどん、バランスを偏らせて、そこに利益を見出すのである。
かたや、日本の投資家は、逆の戦略(逆張り)をとることが多い。欧米とは逆に、価値が上がるものを売って、価値が下がるものを買う。この行動は、結果として、シーソーの揺れを抑える効果があり、混乱は終息に向かう。
しかし、「ミセス・ワタナベ」は、売り買いを使い分けることはマレで、ひたすら「買い」の一手である。ブラジル・レアルが伸びているうちは、大きな利益を手にすることができるが、ひとたび反転するや、ケタ違いの損失を出す。
かつての円安局面では、「ミセス・ワタナベ」の独壇場となったが、一転した円高局面において、多くの「ミセス」は、ものの見事に吹っ飛んでしまった。
今回、ミセスが吹っ飛ぶときは、ブラジルが微笑むときかもしれない。
2011年07月08日
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