2011年07月05日

イギリスの巨石遺跡「ストーンヘンジ」と古代の「ドルイト教」。

「ストーン・ヘンジ」という、イギリスにある巨石を積み上げた遺跡は、エジプトのピラミッドができる前に造られたという(紀元前3,000〜2,000年)。

エジプトのピラミッド同様、やはりその建造方法は明らかにされていない。何十トンという巨石は、いかに加工し、いかに積み上げたのか?これらの巨石は数十キロも先から運ばれてきたものだという。

ただ積み上げただけではなく、結合する石同士には、凸凹の加工が施され、巨石が崩れにくくされている。さらに、サークル状に積み上げた巨石は、地面の起伏にもかかわらず、見事な水平が保たれていたという(一部現存)。

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他の古代遺跡に見られるように、ストーン・ヘンジにも「太陽」の動きを観測する仕組みがある。

一年で最も昼が長い「夏至」のときに、中心の祭壇石に向かって、太陽の朝日が直線的に差し込むのだ。

太陽は「生」の象徴であり、その力が最大となるのが、最も日の長い「夏至」である。

その力を少しでも人界に取り込もうとするのは、古代人に共通した欲望であり、太陽に対する純粋な信仰の顕(あらわ)れである。

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かたや、「死」の象徴とされるのが、最も日の短い「冬至」となる。

一年という太陽サイクルは、夏至に生まれ、冬至に死ぬのである。

ストーン・ヘンジには、ダーリントン・ウォールズという、「対(つい)」となる遺跡が存在しており、こちらは「冬至」の夕日が、直線的に差し込む設計となっている。

「生」は東の朝日に始まり、西の夕日に「死」を迎える。西方極楽浄土とも言うように、これまた世界共通の死生観である。

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「石」でできたストーン・ヘンジに対して、対(つい)のダーリントン・ウォールは「木」でできている。

「石」は、その硬さゆえに「永遠」を表すのに対し、「木」は、その柔らかさから「儚(はかなさ)さ」を意味する。

「石」は、永遠である神の世界の象徴であり、「木」は、寿命のある人間の世界の象徴なのである。

そのため、石でできたストーン・ヘンジが、墓地的・祭礼的な役割を担うのに対し、木でできたダーリントン・ウォールは、人々の暮らす村であったと考えられている。

ちなみに、日本の神々も磐(いわ)から生まれる伝説が数多くあり(天照大神も岩屋にこもった)、古来より磐座(いわくら)への信仰が根強い。神と人の世界を隔てる「鳥居」も、石でつくられた歴史もあり、山形県には最古の石鳥居(平安時代)が今も残る。磐境(いわさか)とは、「この世とあの世の境目」を意味する。

そして、日本人は「木」の家に暮らし続けている。



この不思議な巨石群(ストーンヘンジ)は、人々の想像力を喚起せずにはおかなかった。

過去には、魔術師マリーンが巨人を操って作ったという伝説があり、現在には宇宙船の発着基地という説もある。

ストーン・ヘンジの魔力には、現代人も存分に魅了され、「夏至」の日には、世界各地から大勢の人々が、この地を訪れ、一時は数万人という規模にまで達した。

大混乱により、1985年に遺跡の閉鎖を宣言すると、警察隊とニューエイジの間には、戦争まがいの衝突が起こったという。

それ以降、夏至の日にはストーン・ヘンジへの立ち入りが15年間にわたり禁じられるととなる。

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ストーン・ヘンジにて、「夏至の日」に儀式を執り行うのは、「ドルイド教」にその原点があるとも言われている。

ドルイド教とは、古代ケルト民族に信仰された宗教である。

日本の神道のように、自然の中に神が宿るという「自然崇拝」が軸となっている。とりわけ、「森や木々」に対する想いは深く、「オーク(樫)」や「ヤドリギ」は珍重された。「四葉のクローバー」を特別視したのも、ドルイド教である。

ドルイドとなるためには、屋根のない小船に乗せられて海に流されたりと、厳しい試練を耐え抜く必要があり、加えて、高い道徳心も求められた。時には20年もの修行が必要とされることもあったという。

教義の伝授はすべて「口伝」であり、文字はあったものの書き記されることは決してなく、その秘密は選ばれた者たちのみが知る秘伝であった。

最盛期には、アイルランドからブリテン、そしてフランスにまで広がっていった。



しかし、この自然宗教は、キリスト教の襲来にともない、弾圧や迫害を受け、6世紀頃には衰退していくことになる。

ところが、昨年10月、イギリス政府は、史上初めて「ドルイド教」を「公認」した。

イギリスでは、数千年間の永きにわたり異端視されてきたドルイド教だけに、この公認は大きな成果であるとともに、賛否両論の騒ぎを巻き起こした。

「近年、エコロジー意識が高まるなか、すべての自然に神が宿るとするドルイド教の汎神論的な面に関心が集まっている」と、ニュースでは報じられた。

そして、今年の夏至(6月21日)、ストーン・ヘンジにて、公認後初めてのドルイド教による「祝典」が執り行われた。



古代の宗教観は、どこか世界共通のものがあり、現代人が無意識にもっている感覚と近いものがある。

太陽がらみの「夏至と冬至」。「石と木」のシンプルな文化。「自然」に対する畏敬の念‥‥。

作られた宗教とは一味違った温かみと包容力があり、意味もなく魅了されてしまう。

現存する古代遺跡は数少ないものの、古代のDNAは我々の遺伝子に「織り込み済み」なのかもしれない。



出典:地球ドラマチック
「発掘 ストーンヘンジ〜紀元前3000年建設の謎に迫る」

posted by 四代目 at 08:26| Comment(0) | 宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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