「レアアースの巨大鉱床」である。
太平洋の海底に眠るというその巨大鉱床は、たった1平方キロメートルの範囲だけで、「日本の年間レアアース消費量の0.5〜1.5年分を供給することができる」。
大まかな推定では、太平洋には、「陸上埋蔵量(1億1,000万トン)のおよそ1,000倍のレアアース資源が存在」している可能性があるという。
この鉱床のドロは、レアアースの「含有濃度」が極めて高い。
400ppm以上の濃度があれば、資源として有用とされるレアアースだが、今回の鉱床には、その2.5倍以上(1,054ppm)の濃度が確認されている。
現在のレアアース市場は、中国に牛耳られる形となっており、不当な輸出規制などにより、今年に入って、その価格は3〜5倍に跳ね上がっている。
今回の発見が、すぐにレアアースの供給に結びつくわけではないが、大量のレアアースの存在が確認されただけでも、充分に中国を牽制する効果が見込めるという。
採掘に関する問題点の一つは、巨大鉱床が「公海上」に位置していることである。
しかし、「公海上の資源でも、国際海底機構(ISBA)の合意が得られ、マイニングコードが採択されることで、鉱区を獲得することが可能だ」という。
実際に、ハワイ沖のマンガンノジュール鉱床は、日本を含めた数カ国が鉱区を獲得している。
なお、「レアアースは、採掘作業の支障となる放射性物質と混在していることが多いが、海底の泥には放射性物質がほとんど含まれていないことも分かった」。
薄い硫酸により、短時間でレアアースの抽出が可能であり、環境への悪影響は少ないそうだ。
まさか、海底にこれほどのお宝が眠っていたとは‥。
日本近海に眠る「メタンハイドレート」は、日本の天然ガスの100年分をまかなうという発見もあったが、まだまだ深海には、我々の知りえない世界が広がっているようである。
海の8割は、光がろくに届かない「深海」である。
その点では、我々の知る海というのは、まだまだ氷山の一角に過ぎないのである。
まだまだ、これから嬉しい驚きが海からもたらされる可能性は充分にある。