2011年07月01日

夢あふれる次世代の発電。温泉、温度差、宇宙太陽光‥‥、ドラえもんが近づいている。

原子力発電という巨大発電方式が、瓦解した感のある日本。

54基ある施設は、現在17基(およそ30%)が稼動するばかりで、再稼動の見込みがないままでは、来月3月までには、日本中の全原発が停止することとなる。

国民感情が発露し、日本列島に「脱原発」の声が高らかに響きわたる中、原発の将来は楽観できないものとなっている。



しかし、それでも、各電力会社の株主総会では、「原発継続」が多数を占めた。

電力会社の株を保有する株主たちは、電力会社と利害をともにするため、感情にまかせて原発廃止を決議するわけにはいかないのである。

何より、原発に代わりうる発電方式は、今のところ存在しない。



しかし、国民感情の発露は無駄ではない。

原発という発電方式の「原始性」、「非効率性」が万民の知るところとなった。

もし、原発に代わりうる有望な策さえあれば、原発という大木は、遠からず伐採される見込みが出てきているのだ。



その有望な芽は、すでに双葉を広げ始めている。

今回取り上げる「温泉発電」、「温度差発電」、「宇宙太陽光発電」などが、次代の希望として俄かに脚光を浴びている。



火山大国の日本は、温泉に事欠くことがない。

今まで、温泉を利用する発電といえば、「地熱発電」がその代表格だった。

しかし、「地熱発電」をするには、大地を掘削する必要があり、最悪の場合、「温泉が枯れる」懸念があった。



静岡県の熱川温泉が試みようとしている「温泉発電」は、温泉関係者が懸念した「温泉枯れ」の心配とは一切無縁。

なぜなら、温泉発電は、普段は捨てているも同然の「お湯の熱」だけを利用するためである。

温泉の余分な熱で、アンモニア水を沸騰させ、その蒸気を発電に利用するという仕組みである。

発電量は、一般家屋600軒に太陽光パネルを設置する発電量に匹敵する。

400キロワットの発電設備のコストは、2億円。発電コストは1キロワットあたり「15円」となる。

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「温度差発電」というのも面白い。

こちらも温泉の廃熱を利用するわけだが、温度差さえあれば、温泉でなくとも、冷たくてもOKだ。

先の温泉発電は、温泉の熱を「間接的」に利用するものだったが、温度差発電は、熱を「直接」電気に変える。

2種類の異なる金属の間に、「ゼーベック素子」と呼ばれる薄い板を挟み込めば、温度の差が電力量となる。

室温と体温ほどの差でも、電気は起きる。温泉のお湯と川の水でも、電気は起きる。雪や氷も発電に利用できる。

何と夢のような技術であろうか。自然界は温度差に満ち溢れているではないか。

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新発電は宇宙をも味方につける。

太陽光パネルを宇宙に打ち上げるという壮大な発電方法が「宇宙太陽光発電」である。

宇宙の光は強くてまぶしい。発電効率は地上の10倍だという。おまけに天気は一年中安定している。

宇宙から電線をひくのか?

そんな必要はない。宇宙空間で得た電気は「マイクロ波」に変換され、「無線」で地球へと送られる。地球で受け取ったマイクロ波は、再び電気へと変換されて利用可能となる。

もはや、電気は「コード」を必要とせず、コード変換するだけでよいのである。

宇宙太陽光発電は、技術的には実証済みであるが、そのコストはべらぼうに高い。

現在、原発1基分の発電量を得るのには、数兆円かかる。

2030年を目途に、建設費用1兆円、発電コストは1キロワットあたり「8円」を目指しているという。

この分野は、日本の独壇場であり、世界は日本を目指して開発を急いでいるそうだ。

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新たな発電は、我々に希望を与えてくれる。

今のところ、原発がなければ火力発電か?ぐらいしか発想できないが、実は水面下では、様々な発電方法が試行錯誤されており、時に応じて、水上に浮かび上がる準備を着々と整えているのだ。

現行の発電方式は、何らかのエネルギーでタービンを回すという、原始的なものである。ところが、次世代型の発電方法は、奇想天外、やっとドラえもんも活躍できる時代が来たなと思わせる。

まだ時間はかかるのであろうが、電気を起こすために時代を逆行する必要はなさそうだ。いつまでも化石燃料があるわけでもない。

自然界、そして宇宙はエネルギーに満ち溢れている。




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出典:WBS エネルギー再興 第5回 “次世代”発電の可能性

posted by 四代目 at 13:07| Comment(0) | エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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