さて、今回の福島原発の事故は?
IAEA(国際原子力機関)の閣僚級会議で、フクシマの事故は、やはり「津波」という「特殊な事故」とされ、「世界共通の安全対策には適さない」という傾向が一部で見られた。

26日、アメリカのフォートカルフーン原発の防水施設の一部が決壊し、原子炉建屋に水が迫り、半日にわたり電源が喪失。非常用の発電機が作動する事態となった。
この原発は、ミズーリ川の氾濫により、今月上旬から水に浸っていたのだ。
やはり、このケースも「特殊な事故」であろうか?

もともと事故本来の性質に、「特殊性」が含まれているような気もするが、あらゆる事故を想定してしまうと、原発の安全基準は、極端に高くなってしまいかねない。
安全対策を講じれば講じるほど、原発のコストは跳ね上がる。
インドやブラジルなどの新興国は、この点を懸念している。
安全基準が高くなるほど、原発先進国のフランス・ロシアの支配力も強まってしまう。

「先進国・新興国」の対立、「核保有国・非保有国」の対立は鮮明である。
国際機関であるIAEAが拘束力を強めるほどに、この対立は激化する。
それゆえ、今回の会議においても、具体的な安全基準は設定されず、外交辞令に満ちた宣言がなされるに留まった。
原発に関する議論は、一進一退に終始する。
議論している間も、原発の建造はトンテンカンと続いている。
それこそ推進派の思うツボかもしれないが‥。
出典:時論公論
「フクシマの教訓 IAEA閣僚級会議」