日本の高齢者(65歳以上)の割合は世界一である。
高齢者の割合が人口の「7%」以上が「高齢化」社会。
「14%」以上になると「高齢」社会。
「21%」を超えると「超高齢」社会。
日本は、2007年に高齢者の割合が「21%」を超え、「超高齢」社会となった。2010年の最新統計では、高齢者の数は3,000万人に迫る勢いを見せた。
技術大国ニッポン。介護ロボットなどの技術は世界トップクラスである。
その中でも、異色なロボットが、アザラシの「パロ」である。
アザラシ型ロボットの「パロ」は、介護を手伝うわけではなく、高齢者を「癒す」。
2002年、世界で最もセラピー効果があるロボットとして、「ギネス」に認定された。
「パロ」は世界中の介護現場の実証実験で、もれなく高い評価を得ている。
たとえば、デンマーク。
あるお年寄りは、夜間徘徊のクセに悩まされ、その薬代に年間30万円がかかっていた。
ところが、アザラシの「パロ」がやって来るや、そのお年寄りはパロに癒され、徘徊のクセが解消された。
「パロ」は一体「60万円」するが、治療費を考えると充分に割安であった。
福祉国家のデンマークでは、薬代をはじめ「パロ」まで国の負担である。すなわち、「パロ」のおかげで、国家の財政が助かったのである。
2008年にデンマークに渡った「パロ」は、海外での初の販売事例であった。

日本国内では、なかなか市場と結びつかない介護ロボット。技術はありながら、販売に苦慮している。
むしろ、海外のほうが積極的に関心を示してくるケースも、珍しくないという。

一人っ子政策を続ける「中国」も、今後、少子化とともに、高齢者の介護が喫緊の課題となる。
中国では、日本ほどに「保険」が整備されていないため、国民の負担は多大である。
そのため、日本国内で活路を見出せずにいた介護業者たちも、中国に期待する面が大きい。市場規模は、単純に10倍である。
ロボットはロボットでも、アメリカのロボット兵器は、自軍に銃を向けたり、一般市民を誤爆したりと、物騒極まりない。
かたや、アザラシの「パロ」は、傷ついた人の心を癒してくれる。
平和国家ニッポン。日本が先頭に立って、世界を癒し、世界を介護する日が来ているのかもしれない。

出典:クローズアップ現代
「“高齢化先進国”の強みをいかせ」