ここ数年、太陽に「異変」が起きているという。
パワーが弱まっているとのことだ。
その様は、かつての「小氷期」を彷彿させるという。
現在、太陽」は「6つの衛星」によって24時間監視されている。
その一つが、日本の「ひので」。
「ひので」が宇宙から送ってくる「高精細な画像」の美しさは、科学を超えた「芸術だ」と評価されている。
「ひので」の撮影した黒点の一つは、形が日本列島に似ていることから「ニッポン」と呼ばれているそうだ。

「ひので」をはじめとした、太陽観測衛星が注視するのは、太陽の「黒点」である。
太陽活動が活発なほど、「黒点」の数は増える。
「黒点」の増減には、正確な周期がある。「11年」で増減のサイクルが完了する。

この周期に従えば、今年(2011年)は、黒点活動のピークになる「はず」だった。
ところが、予定通りに「黒点」の数が増えてこないのだ。このままでは、予定を2年遅れて、2013年にピークが来ることになる。
「黒点」が増えないとは、どういうことか?
先述の通り、黒点が多いほど、太陽活動は活発である。太陽の活動が鈍いほど、黒点の数は少ない。
では、寒くなるのか?
その可能性もある。しかし、今後とも黒点が減り続けるかどうかは分からない。
1400年頃から1800年頃にかけての、気温が下がった期間を「小氷期」と呼ぶ。
ニューヨーク湾が凍結したり、イギリス・テムズ川が氷結したり、様々な記録が残っている。
日本においては、農作物の減少から、戦国時代を到来させたとも言われている。

この期間、太陽の黒点の周期は狂った。
正確な11年周期から、13年周期へとサイクルが2年伸びた。
今回の黒点周期も13年になりそうである。この点をもって、地球が寒冷時代に入るという研究者もいる。しかし、未来は予測できない。
より正確に理解するためには、多少の知識が必要である。
ポイントとなるのが、「太陽の磁力」、「宇宙線」、「雲」の三つ。
太陽の黒点から出る「磁気」は大変に強力で、この磁気は「太陽系」全体をバリアーのように覆っている。
このバリアーがあると、宇宙線は太陽系に入りにくい。
ところが、黒点が減って、太陽の活動が鈍ると、バリアーも弱くなる。そうすると、宇宙線は安々と太陽系に侵入し、地球にも通常より多量の宇宙線が降り注ぐ。
この宇宙線自体が危険なわけではなく、宇宙線が空気中の分子に激突する影響が問題である。
宇宙線にぶつかられて不安定になった分子は、安定を求めて、まとまり出す。そのまとまりが核となり、水蒸気を呼び寄せ、雲を発生させる(雲はチリやゴミなどの「核」となるものがあるほど発生量が増える)。
雲は太陽の光を遮り、地表の気温を低下させる。

誤解していけないのは、黒点の数が減っても、太陽の「光」のエネルギーは変わらないことだ。変わるのは「磁力」である。
そして磁力の低下が、宇宙線を地球に招き、宇宙線が「雲」を発生させる。
その結果、地球は日陰状態となり、気温が低下するのである。

我々は地球のことだけ考えていれば良いわけではなく、太陽をはじめ、宇宙のことも考えておかなければならない。
今後、温暖化するのか? 寒冷化するのか?
温暖化の原因は二酸化炭素なのか? 寒冷化の原因は太陽にあるのか?
原因と結果の距離がありすぎて、明快な回答は未だ「ない」。
宇宙規模の変動が観測されれば、もはや地球上で「内輪もめ」している場合ではなくなるかもしれない。「地球民」として、難局を乗り切る日がやって来るかもしれない。
出典:コズミックフロント〜発見!驚異の大宇宙〜
「迫りくる太陽の異変」