2011年05月31日

世界初の全身麻酔、成功させたのは日本人だった。華岡青洲の物語。

江戸後期、一人の村医者が「乳ガンの手術」を成功させる。

「華岡青洲(はなおか・せいしゅう)」である。

彼の偉業は、世界で前例のなかった「全身麻酔」によって、「乳ガン手術」を成功させたことである。

麻酔の歴史には、中国・三国時代の医師「華佗(かだ)」や、インカ帝国の「コカ」の麻酔手術が伝わるが、いずれも伝承の域を出ない。



「華岡青洲」は33歳のとき、妹・於勝を乳ガンに亡くす。

医者でありながら、身内の病(やまい)を癒せなかった青洲の無念。

「乳ガンなる病(やまい)を、治療する術(すべ)はないものか?」



青洲の執念は、西洋の文献から治療法を見つけ出す。

ところが、その治療法は、現代の外科手術であり、当時は最新の西洋医術ですら「全身麻酔」は実現していなかった。



「全身麻酔」として、青洲が着目したのは「薬草」。

苦心の末、曼陀羅華(チョウセンアサガオ)、草烏頭(トリカブト)などの「毒」をもつ薬草に狙いを絞る。

koan2.jpg

犬による実験は成功。今度は人間だ。

自分で飲んでは、試行錯誤を繰り返す。

無理がたたり、神経をおかしくする青洲。それを見かねた「妻・加恵」は、自分の身を実験台にして欲しいと懇願する。



妻・加恵の献身もあり、「全身麻酔薬(通仙散)」は遂に完成する。

しかし、その成功の陰には、副作用による「妻の失明」という大きな代償があった。



華岡青洲、一世一代の「全身麻酔薬」。

最初の乳ガン患者は、65歳の老婆・勘であった。

「老い先短い」自分の身を使って欲しいとの申し出であった。



麻酔を効かせ、腫瘍を摘出。

腫瘍は大人のコブシほどもあったという。

問題はここからであった。麻酔から醒めるかどうか?



無限に感じられた10時間ののち、老婆・勘は静かに目を覚ます。

ここに、世界初の「全身麻酔」による「乳ガン手術」は成功を収める。

この快挙は、西洋(アメリカ)に先んじること40年。

西洋人に見下されていた日本人による、見事な一矢であった。

koan1.jpg

以後、青洲は143名の乳ガン患者を手術したと伝わる。



現在の「日本麻酔科学会」のシンボルマークは、世界初の全身麻酔に使われた薬草「曼陀羅華(チョウセンアサガオ)」。

華岡青洲の功績を讃えてのことである。



1835年、青洲は76年の生涯を閉じる。

生まれ故郷、和歌山の地に葬られる。

今に伝わる青洲の墓、その隣りには、妻・加恵の墓が、こじんまりと身を寄せている。




関連記事:
ナノ・サイズを巧みに操る現代医療。未病を癒す新技術の数々。

カルシウムに秘められていた生命の神秘。そのカギを開いたのは日本人であった。

脳でも心臓でも再生できるという「ウーパールーパー」。トボけた顔だからと侮れない脅威の再生能力。

インターネットが示唆する、医療の明るい未来



出典:歴史秘話ヒストリア
「幕末スーパードクターズ〜緒方洪庵と江戸の名医たち」


posted by 四代目 at 18:03| Comment(2) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
青洲は麻酔を作り上げてすごい。
Posted by 優姫 at 2011年08月30日 22:39
凄いですね!
Posted by at 2013年08月19日 19:34
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: