原子力発電は、その両方の物質を生成することができ、そのため原発は「原子爆弾の原料工場」と言われている。生成の際には「電気」というオマケがつく。
原発で得た「ウラン235」や「プルトニウム239」は、そのままでは「爆弾」を造れない。他の工場で、別の加工が必要である。
ウランの場合、天然の状態では「発電」にも「爆弾」にも使えない。「濃縮」という作業を経て、はじめて利用価値がでる。
天然のウランに含まれる「ウラン235」は、わずか「0.7%」。これを「3%」まで濃縮すれば「発電」として使え、「90%」まで濃縮すれば「爆弾」として使えるようになる。
どうやって「濃縮」するのかというと、「遠心分離」。
グルグルまわせば、重いものは「外側」に、軽いものは「内側」に分離する。「ウラン235」は軽いので、内側に貯まる。それを吸い上げて集める。
青森県・六ヶ所村の工場は、ウランを「濃縮」できる工場である。もちろん「発電」用にウランを濃縮するわけだが、原理的には「爆弾」用も同じである。
次にプルトニウム。原発でできたプルトニウムには、「プルトニウム240」という邪魔な物質が含まれる(22〜30%)。これを「分離」して、「プルトニウム240」を7%以下にする必要がある。
これができるのが、福井県・敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」。
爆弾づくりには欠かせない、「ウラン」を濃縮する工場と「プルトニウム」を分離する工場、日本はすでにこの2つを持っている。その気になれば、日本はいつでも原爆を造ることができるといわれる理由である。
「ウラン」型と「プルトニウム」型の原爆はどう違うのか?
「ウラン」は、「濃縮」するのは、技術的に難しい。爆弾用の90%まで濃縮するには、「高度な技術力」と「大規模な設備」が必要である。
ただ、濃縮したウランさえ入手してしまえば、爆弾づくりはあっけないほど簡単だ。
爆弾の中で、2つに分けたウランを合体させるだけである。
アメリカが広島に落としたのは、この「ウラン」型。「リトルボーイ」と呼ばれた原爆は作ってすぐ、実験もなしに、いきなり広島に落っことした。
「プルトニウム」型の爆弾づくりは難しい。
プルトニウムを中心に、火薬を幾重にも重ねて大きな球にする。
爆発を球の外側から内側へ起こさせる。最終的に中心のプルトニウムに爆発の圧力を集中させるのが目的だ。
中心のプルトニウムに均一に圧力をかけなければ、充分な破壊力は得られない。ここが難しい点である。
そのため、核実験が必要になる。
アメリカが長崎に落としたのは、この「プルトニウム」型である。落とす前に、アメリカの「アラモゴード」という場所で核実験を行った。
実験により、充分な成果がえられると、「ファットボーイ」と呼ばれた原爆は、長崎に落っことされた。
なぜアメリカは日本に2つも原爆を落としたのか?
ひとつで充分ではなかったのか?
「ウラン」型、「プルトニウム」型の両方を、実地でやってみたかったのだろう、と疑う人も多い。
出典:BS世界のドキュメンタリー シリーズ
想定ドキュメンタリー 迫り来る危機
「核兵器の脅威に備える〜リーダーのための最新科学」

