この危険すぎる置き土産は、いまだに処理方法が存在しない。
かつて「放射性廃棄物」はドラム缶につめて、海に捨てられていた。
原発関係者にとって、海は「巨大なゴミ箱」だったのである。イギリス、スイス、ロシア、アメリカ、ドイツ、フランス、そして日本。これらの国々が「放射性廃棄物」を海に捨てまくった。

この海洋投棄は、一般市民の猛烈な反対にあいながらも、50年の長きにわたって続けられた。1993年に、ようやく禁止される。
その捨てられたドラム缶はどうなったのか?
環境団体のグリンピースの海底調査では、ボロボロに崩れたドラム缶が発見された。ドラム缶の中は空っぽで、ウナギの巣になっていた。
中に入っていたはずの「放射性廃棄物」は消えていた。すっかり食物連鎖に取り込まれてしまった後だったのである。

フランスに「ラ・アーグ」という使用済み核燃料の再処理工場がある。
管理するフランス原子力企業・アレバ社は、100%リサイクルしていると謳っているが、実際は「放射性廃棄物」の90%をロシアに捨てていた。リサイクルしていたのは、たったの10%だけであった。
さらに、工場から出る「汚染された水」は、英仏海峡へとタレ流しである。
ドラム缶を海に捨てるわけにはいかなくなったので、工場から海へパイプを伸ばし、「汚染水」を直接海に捨てることにしたのである。サル智恵である。
煙突からは放射性物質がヨーロッパ中に飛び散っている。ヨーロッパの放射性物質の80%が、この煙突から出ているとまで言われている。
とんでもない工場であるが、フランス原子力安全機関との癒着のおかげで、この悪行は黙認されている。
フランスは自国の電力の80%を原子力発電に頼る、自他ともに認める原発大国である。
原発への投資は多大で、どんな問題が起きようとも、もはや後戻りはできない。そのせいで、太陽光、風力などの新エネルギーに投資する余力がフランスにはない。
原発が稼動し続ける限り、「放射性廃棄物」は増え続ける。
処理方法は、いまだ見つからず、人間ができることは、危険性がなくなるのを「待つ」ことだけである。
放射性廃棄物の危険性が完全になくなるのは「20万年後」。現生人類の歴史が20万年ということを考えれば、途方もない時間である。
原発は、とんでもない負債を未来に残してしまった。
そして、その負債は今も増え続けている。
海や空に放出された放射性物質は、拡散するために、今のところ目に見える被害はでていない。
しかし、放射性物質の長い寿命を考えれば、生態系を循環し、いずれは人間に戻ってくる。
放射性物質に真っ先にやられるのは、間違いなく「人間」である。人間は地球上の種の中では、とびぬけて弱い存在なのである。
チェルノブイリの森には、人間が入ることはできないが、他の動植物は人間のいない世界を謳歌している。
放射性物質がジワジワと忍び寄ってくれば、まず人間からいなくなり、地球は人間ヌキで楽しくやっていくことだろう。
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出典:BS世界のドキュメンタリー シリーズ
放射性廃棄物はどこへ 「終わらない悪夢」
フランスの原発の実態については殆どマスコミでは取上げられていませんが、やはり海にながしていたのでしょうか?いつかは人類も滅びるかもしれませんが、その前に絶滅した生物の膨大なリストを作るでしょう。それを避ける知恵はまだあるはずです。