法律上では
明らかに失明と診断されるほど
視力の弱い少女がいた。
しかし、驚いたことに彼女は17歳になるまで、
自分の視力が、それほどまでに弱いことを
気づかなかったという。
気づかなかったというよりは、
「認めなかった」というほうが正しい。
「特別な学校に行かせたくない」
「レッテルを貼りたくない」
「限界を決めつけたくない」
という両親の強い想いのもとに育てられた少女は、
自分の障害を決して認めず、
不屈の精神で、健常者のごとく振舞い続けた。
健常者になりきりすぎて、
いつの間にか自分の視力の弱さすら
忘れてしまっていた。
ところが、17歳の誕生日に、
妹の付き添いで眼科に行き、
冗談半分で診察をうけた際、
医師に、自分の目が見えないことを指摘されたのだ。
それでも彼女は認めなかった。
普通の人に負けまいと仕事に就き、
グローバル企業のコンサルタントとして
第一線で活躍を続けていた。
しかし、28歳のとき、
ついに全く視界が閉ざされる。
ここに彼女は絶望する。
無闇に全力で走り回り、石につまづき転倒。
立ち上がる気力は、もうなかった。
その暗闇の中、
ひとしきり泣きじゃくった後、
彼女はトンでもない解決策に狂喜する。
「そうだ、象使いになろう」
突然立ち上がるや、
そのトンでもない計画を
素早く実行に移す。
インドに行ったこともなければ、
ヒンディー語も話せるわけがない。
それでも彼女は飛び立ち、
象にまたがり、インド1000kmを旅する。
そうして彼女は
初めて自分の思いに気づく。
今まで自分は「本当の自分」ではなかった。
目が見えないのに、
見えると無理やり思い込み、
「見せかけの自分」を作り出していた。
そのままの自分を全否定して、
自分を全く信じていなかった、と。
そのままの自分を認め、受け入れた瞬間、
彼女が求めてやまなかった「自由」が
これでもかと眼前に広がってゆくのを感じたという。
象の旅1000kmが終わる頃、
彼女に寄せられた寄付金の額は、
6千人の白内障患者を救うほどになっていた。
6千人の失明を救うことができたのだ。
現在、彼女は社会企業家として活躍中である。
彼女が講演する姿を見ても、
彼女の目が見えないと思う人は、まずいないだろう。
出典:TED
キャロライン・ケイシー: 限界の向こう側
2011年05月07日
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