だが、その波は無残にも軍隊に踏みにじられる。
市民への無差別発砲、装甲車による蹂躙‥‥。
悪名高き「天安門事件」である。
しかし、その火は完全に消えていない。
いまだに戦い続けている人々がいる。
天安門事件をきっかけに、
パリに亡命した中国人が300人ほどいる。
彼らは、いまだ民主化の夢を追い続けている。
「民主化が先か?経済の豊かさが先か?」
彼らは果てしのない議論を続ける。
民主化への道は遠く、急げば流血を招く。
しかし、経済の豊かさを先にすれば、
官僚と結託した富裕層に、利権を独占される。
卵が先か?ニワトリが先か?
天安門事件以降、
ケ小平の政策は変わったという。
「国民を政治に関与させないかわりに、
金もうけを推奨した。」
そして、その思惑通り、
国民は政治に無関心となり、
金儲けに血眼になった。
その結果が、「伝統・文化・道徳」を無視した、
現代中国人のビジネススタイルだという。
チュニジア発の中東の革命は
中国を刺激しないはずはなかった。
しかし、天安門事件の恐怖が残る中国では、
何とも地味なデモが行われたのみだった。
「無言の散歩」と呼ばれるデモである。
上海・北京を含む13都市で一斉に行われた。
天安門事件以来の市民行動は、実に静かだった。
パリに亡命した天安門事件の活動家たちは、
ふたたび中の土を踏むことを夢見ている。
しかし、さすがに待ちくたびれてもいる。
それでも、彼らは天安門事件をあのままの形で
終わらすわけにはいかない。
罪のない仲間が、無為に殺されていったことを
認めるわけにはいかない。
力がものをいう世界を是認はできない。
彼らがささやかな抵抗を続ける限り、
その意志は、細々とでも継承されてゆく。
しかし、不遇をかこつ日々に終わりは見えない。
出典:NHKドキュメンタリーWAVE
「パリの中国人〜天安門事件 亡命者たちの日々」

