「マントヒヒ」のマント。
少しでも自分を大きく見せようとするのは、
弱肉強食の世界において常套手段である。
マントヒヒは、エチオピアを中心とした
アフリカの一部にしか生息していない。
というのも、彼らは「崖」にしか住まないからだ。
エチオピアには「大地溝帯」がある。
大地が左右に引っ張られる力が
アフリカ大陸には働いており、
その結果、巨大な「溝の帯(おび)」ができる。
この帯(おび)の両端が、切り立つ崖となり、
そこにマントヒヒは暮らす。
なぜ崖に暮らすのか?
普通のサルは木々に暮らすが、
ここエチオピアの大地溝帯に、高木はない。
乾燥した気候のため、大木が育たないのだ。
平地にはハイエナなどの天敵が多いが、
崖の上だけは安全なのである。
おそらく、好んで崖に住み着いたわけではなく、
崖に住んでいた奴等だけが生き残ったのだろう。
また、乾燥した大地では、
水の確保が死活問題である。
ところが、崖に水場はない。
そこで昼間に、水場まで大群で移動する。
真昼は暑すぎて、ハイエナの動きも鈍いからだ。
3時間も4時間もかけて水場まで行き、
また崖まで引き返す。そして夜は崖で寝る。
この繰り返しだ。
エサは乾燥地に自生するアカシアの木の花や種。
石の下にいる昆虫、特定の草の根っこなどなど。
シンプルで質素な暮らしだ。
ほぼ極限の自然環境にあっては、
その生活も自ずと極まってくる。
そんな無駄のない生活の中でも、
オス同士のメスを奪い合う争いは、
最重要事項のようだ。
強いオスは10匹以上のメスを従える。
メスが少しでもオスの側を離れると、
オスは猛烈に怒る。噛み付く。
離れたスキに、他のオスに奪われかねないのだ。
霊長類では一番気が荒いというマントヒヒ。
最大の敵は、同族のオスである。
出典:NHKワイルドライフ
「エチオピア 乾燥の大地 荒野に闘うマントヒヒ」

