2011年04月18日

不遇なカナダ原住民。タールサンド採掘の静かな悲劇。

原発事故以来、原油価格は高騰を続けている。
原子力の危険性が、石油時代への逆行を強めているからだ。

原油価格が高くなることによって、
原油供給の図式が変わってくる。

今までは高コストのために
採掘を見合わせていた油田が、
一躍脚光を浴び始めている。

その一つが「タールサンド」。
「オイルサンド」とも言う。
油分のある土壌から石油を取り出す。

現在、カナダ西部で
大規模開発が繰り広げられている。

oil1.jpg

「タールサンド」のまたの別名は「汚い石油」。
採掘すればするほど、
汚染物質が自然界にバラまかれるからだ。
汚染物質は、「ヒ素・鉛」など。

間接的な悪影響を与える二酸化炭素以前に、
直接的な悪影響を与える「有毒物質」の問題は、
はるかに巨大である。

日本において、高度成長期の代償となった「公害」問題。
カナダでは「タールサンド」採掘とともに、
上流の水が汚染され、下流の原住民が「公害」に苦しんでいる。

残念ながら、カナダ政府はこの「公害」を認めない。
奇形の魚が大量に見つかり、
珍しいタイプのガンが原住民に多発しても。

その事実を告発した医師は、
すでにその地を追われてしまった。

oil2.jpg

それもそのはず。
カナダにとって「タールサンド」は
GDP成長に貢献し、雇用を生むからだ。

カナダからもたらされる油は、
アメリカがキチンと買ってくれる。

アメリカは
カナダの「麻薬の虜(とりこ)」になっていると
皮肉交じりに揶揄される。

開発業者は、すっかりアメリカ・カナダの政治家を魅了し、
いまや保健省、汚染調査機関までを傘下におさめている。

毎年公表される汚染データは、
「異常なし」と示されるだけで、
具体的な数字は一切ない。

明らかな被害を受けた住民が、どんなに声をあげようと、
開発業者は、のらりくらりと意味不明の言い訳を繰り返す。

汚染の因果関係を、国や業者が認めないのは、
問題を先送りしたいからに他ならない。

問題が先送りされている間、開発は続けられ、
その間にも莫大な利益があげられるからだ。

歴史を振り返れば、
南北アメリカ大陸の原住民は、
ヨーロッパの人々に力で押し切られてきた。

今回も、カナダの原住民の土地が、
勝手に開発されるのみならず、
健康被害を撒き散らしている。

このままでは、泣き寝入りするしかない。
綿密に根回しのきいた開発に抵抗するすべはないのか?

化石燃料を無意識に、
しかも大量に消費し続ける我々にも
責任の一端は確実にある。




関連記事:
石油になり損ねた資源たち。二酸化炭素と生物による堂々巡りの物語。

「火のつく水」は、シェールガス汚染の象徴。アメリカの飲料水を汚染する資源開発。



出典:NHKBS世界のドキュメンタリー
シリーズ 未来をあきらめない 
「岐路に立つタールサンド開発〜カナダ 広がる環境汚染」(前編)
posted by 四代目 at 06:51| Comment(2) | 石油 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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